日本時間2月25日に開催された今年2019年の第91回アカデミー賞授賞式。今回の賞レースは1月中から様々な論争が起こり、個人的には波乱の年だったのではないかと思います。マイノリティーの候補が相次いで受賞を果たした一方で、黒人の市民権をテーマにしたドラマ映画『Green Book (グリーンブック)』の作品賞受賞についても様々な意見が飛び交っています。
この『Green Book』はMahershala Ali (マハーシャラ・アリ)演じる天才黒人ピアニストと、Viggo Mortensen (ヴィゴ・モーテンセン)演じる運転手兼がさつな用心棒のイタリア系男性とが出会い、何もかも正反対のふたりが演奏ツアーを通して最高の"バディ"になっていくという実話に基づいたロードムービー。第91回アカデミー賞で作品賞、脚本賞、助演男優賞の3部門での受賞を達成しました。Netflixオリジナルのヒューマンドラマ『ROMA
作品賞を含む3部門を受賞したこの作品ですが、この受賞について不快感を示す人たちが多くいたということは事実です。プレゼンターとしてJulia Roberts (ジュリア・ロバーツ)が作品賞を読み上げると、「BlacKKKlansman (ブラック・クランズマン)」で脚色賞を得ていたSpike Lee (スパイク・リー)監督は怒りのあまり、席を立って退出しようとしたという報道もあるほどです。
論争を呼んだきっかけとして、人種差別というテーマを愉快に描いているという点が理由として考えられています。深刻なテーマにユーモアを見つけようとするのは浅はかであったとも言えます。ふたりのやりとりや正反対のふたりの異なる世界のズレが笑いを誘うシーンでコメディタッチな部分があり、表面的なユーモアを探すあまり、差別問題の現実を過小評価しているという意見も多くあったようです。黒人専用のモーテル、レストランやトイレにも入れなかったという現実があり、おもしろおかしく語るにはあまりにも痛々しい歴史があるからです。人種差別は過去のものだという認識を持つ人々の視点に偏った描かれ方という声もあり、受賞に対して反発の声があがっています。
ふたりはこのGreen Bookを頼りに旅を始めるのですが、そもそも作品のタイトルにもなっている「Green Book」とは何なのか。Green Bookという本は1936~1966年にかけて黒人の郵便局員によって発行された黒人用のトラベルガイドで、「どのホテルに泊まり、どこで食事をすれば安全か」などが書かれていたそうです。特に差別が激しかった40、50年代には黒人の旅行者にとってなくてはならない本でした。
人種差別をテーマとして描きながら、何もかもタイプの違う主役ふたりのやりとりがおもしろく描かれていて、微笑ましいシーンも多く「希望」に焦点を当てている映画なのかなと思います!重い雰囲気がないので、テーマについて考える入り口として良いかもしれません。笑いを誘う場面もあり、思いもよらないシーンで涙することも…?こういった背景もふまえて観てみると、単純にいい映画だというだけでなく新しい視点から観ることができるかもしれませんね!トニーを演じたViggo Mortensenの食いっぷりが豪快で、見たあとには無性にチキンが食べたくなるという声も見かけました!本日から全国で公開が始まっている注目作品なので、気になった方は是非見に行ってみてください!
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