長い年月の間、いつまでも終わらない人種差別的な警察の暴力と社会の不平等に怒りの声を上げる運動が更に大きくなっています。
そんな中数々のスニーカー企業や有名ショップ、コラボレーションやデザインで貢献してきた著名人達も、次々とこの黒人差別反対運動をサポートする声明を発表しています。
スニーカーカルチャーとブラックカルチャーは切っても切れない関係にあり、アフリカ系アメリカ人のコミュニティーなしには、今の発展と成長は語れません。
その貢献度は計り知れず、それだけに、また、だからこそ
スニーカーを愛する者として、黒人の人達に家族同然の友人がいる者として、世界の平和を乞う者として、
SNKRGIRL (スニーカーガール) は人種差別に断固反対します。
アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリスで、アフリカ系アメリカ人 George Floyd (ジョージ・フロイド)さんが現地時間5月25日 (月) 、白人警察官に8分46秒もの間、膝で首を圧迫され、殺されるという残酷な事件が起きました。
フロイド氏の行きつけだったデリ(アメリカ版のコンビニ)の店員が、当時、タバコを買おうとした20ドル札が偽札だったのではないかという疑いで警察に通報。17分後に警官が到着。
駆けつけた当時警察官の1人であった白人男性 Derek Chauvin(デレク・ショーヴィン)が、ミネアポリス警察の方針にも背く行為と判断される一連の行動を起こし、フロイド氏を死に至らしめました。
「息ができない」「動けない」「お願いだ。。。」とフロイド氏が何度も訴えても、顔が青ざめても、周りの目撃者が止めろを訴えても、ショーヴィン元警官はその膝を動かす事なかったのです。
フロイド氏は、テキサス州ヒューストン出身の46歳の男性でした。
地元ヒューストンではアメリカンフットボールやバスケットボール選手として活躍した経歴があり、元NBAのスタープレイヤーのStephen Jackson (スティーブン・ジャクソン)氏とも旧友で、亡くなるまで親交がありました。
また "Big Floyd(ビッグ・フロイド)"名義でラッパーとして活動した過去があり、、DJ Screw (ヒューストンの伝説的DJ)のトラックにも参加したことがあるそうです。
亡くなる数年前にミネアポリスに引っ越し、トラックの運転手をしたり、警備員やクラブのバウンサー (セキュリティー)として働いていましたが、事件当時は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事はできていなかったといいます。
フロイド氏は、身長約2メートルもある大柄で、その体格なだけにケンカ腰であるという誤解をされる事もあったようですが、本人は優しくて愛情深い人柄であったと、多くの友人や親族は語っています。
フロイド氏が、警官によって"殺されなければいけなかった理由はありません"。
その後ミネソタ州の裁判所の陪審は有罪の評決を出しました。フロイドさんの首を不当に「8分46秒」もの間押さえつけて死亡させたとして、第2級殺人、第3級殺人、故殺の3つ罪に問われている元警察官のデレク・ショービン被告について、ミネソタ州の裁判所の陪審は20日、すべての罪で有罪とする評決を出しました。
#BlackLivesMatter とは、「Black (黒人) Lives (命) Matter (価値)」つまり、
「黒人の命には価値がある」という意味です。
黒人であるというだけの理由でその命が軽視され、その人権が侮辱され、被害を受けた人達へ、正義が果たされないことに対しての怒りを表明し抗議する大規模なデモは、歴史的には何度も繰り返されています。
特にここ10年の間によく叫ばれているのがこの「Black Lives Matter ブラック・ライブス・マター」というメッセージ。
2012年に起きたTrevon Martin (トレヴォン・マーティン)という当時17歳だった少年が、丸腰だったにも関わらず不当に射殺された事件が無罪となった事をきっかけに、3人の黒人女性により始まった、黒人中心の政治的決意とムーブメントを築き上げるプロジェクトの名前でもあります。(「Black Lives Matter」プロジェクトの公式サイトはこちら)
1950年代から60年代にかけて行われたキング牧師やマルコム・Xなどの黒人リーダーによる公民権運動後も、黒人に対する人種差別がなくなるわけではなく、オバマ大統領という初の黒人大統領が誕生しても、2020年という現代に至っても、警察による黒人への暴力や殺人行為はなくなりません。
ジョージフロイド氏殺人罪で訴追された元警官は、その後、保釈金は100万ドル(約1億600万円)で保釈されてしまいました。条件つき保釈の場合は100万ドルに保釈保証金の額が設定されており、フロイドさんの家族に接触しないことや銃器の放棄、裁判を待つ間に警官や警備員として働かないことなどが含まれています。
こうした保釈は、アメリカの人種差別問題を完全に撲滅するまでの道のりへの遠さを痛感させられるものです。
だから、世界中でみんなの声を集め、差別が完全になくなるまで反対の声を上げ、反対の活動を続けなければならないのです。
Black Lives Matter 運動は、決してトレンドなどでありません。
ファッション業界・音楽業界・スポーツ業界・エンターテイメント業界など多方面において、ブラックカルチャーにより支えられ、繁栄してきた企業や著名人達が、この問題に反対する声を上げ、「本当の変化」が訪れるまで共に戦う様世界中に呼びかけています。
「一回でも。やるな。
アメリカに問題は何もないというふりをするな。
人種差別から目を背けるな。
無実の命が我々から奪われることを受け入れいるな。
もうこれ以上、言い訳はするな。
これは自分に関係ないなんて考えるな。
沈黙し、傍観するな。
変革の一部に自分はなれないなんて思うな。
さあ、みんなで、変革の一部になろう。」
Let’s all be part of the change.#UntilWeAllWin pic.twitter.com/guhAG48Wbp
— Nike (@Nike) May 29, 2020
スニーカー業界の中では、ライバル企業としてそのシェア競争を繰り広げるアディダスも、ツイッター投稿で、ナイキの投稿を引用RT。
Together is how we move forward. Together is how we make change
(協力することで前に進むことができる。協力することで変革を起こすことができる)
と、人種差別問題は、ライバル同士も競争の垣根を超え、世の中が一致団結して共に戦う重要性を伝えています。
Together is how we move forward.
Together is how we make change. https://t.co/U1nmvMhxB2— adidas (@adidas) May 30, 2020
Adidas (アディダス) 傘下のREEBOK (リーボック) も同様にコメントを発表しています。
「ブラックコミュニティーなしに、リーボックは存在しない。アメリカも存在しない。私たちは、靴を買ってほしいと頼んでいるわけではない。"他の人の靴を履いてみてほしい" (英語でよく使われる比喩表現で、他の人の立場に立って考えろという意味) と頼んでいるのだ。共に団結して立ち上がるために、人類が皆共有できる目標に辿り着くために」
https://www.instagram.com/p/CA0jrMwnJPT/?utm_source=ig_web_copy_link
「我々は行動を起こさなければいけない!」というメッセージを掲げています。
また、Pumaはミネソタ・フリーダム基金 (有色人種や移民が白人に比べて逮捕率が高くより厳しい判決を受けがちであることや、また保釈金の金額も高く設定されているという不平等を是正するために設立されたファンド。) を支援すると発表しています。
「私たちの家族に、憎しみや偏見の入る場所はありません。私たちはブラックコミュニティーとブラックライブズマター(という理念)と結束を固めています!」
"そして、私たちは人種差別を解体する義務があり、変革を起こし、この重みを抱えることを共にするのです。これからもたくさん学ばなければならないことがあり、ブラックコミュニティーの皆さん一人一人をサポートする為の方法を、内外から見つめ直し続けなければなりません。"
という声明のバンズ。
NAACP をはじめとした各団体に寄付をしています。
** NAACPとは、National Association for the Advancement of Colored People, NAACP の略称で、全米黒人地位向上委員会の事。
「今日、私たちは沈黙することのできない問題について どう提唱すればいいかを探しています。アメリカ全土や世界中にある有色人種のコミュニティーが日々直面している永久的な不平等や恐怖と共に生きることなど、どんな人間でもすべきではありません。私たちは、ジョージフロイド氏や多すぎる他の犠牲者の方々の不当な死に対して、正義が下される事を求め、世界中の全てのニューバランス従業員やアンバサダーやアスリートと一丸となって団結します!」
また、全てのニューバランス・パートナーやコミュニティーの人々に、言葉だけではなく、平和的行動で示す事をお願いしています。
「まずは、ジョージ・フロイド氏の正義が下される為の署名に参加する事から始めましょう。」という呼びかけもしています。
「我々人類は、全てのコミュニティーで、全ての歩みにおいて、全ての歩幅と共に、人類の魂に力を与える為に存在しています。そして、今、我々のコミュニティーは苦しんでいます。我々は世界をバラバラに分裂させているこの人種の不平等に、苛立ち、心を痛め、そして怒っています。」
日本にあるスニーカーショップでは唯一コメントを発表し、また日本語による声明を出しています。
ラウンドツーは、路面店がかなりひどい暴動の被害に合いましたが、人種差別に断固反対し、ブラックコミュニティーを賞賛し感謝するメッセージを発しています。
シュプリームもブラックコミュニティーへの感謝と人種差別反対の意を表し、5000万円相当を4つの団体に寄付をすると伝えています。
STÜSSY(ステューシー)の“END RACISM TEE”とプリントされたチャリティーTシャツ。
ブラック、ホワイトの2色展開で、Tシャツの売り上げは、「Black Lives Matter」と「Equal Justice Initiative」に全額寄付される。
日本にもBlack Lives Matter の活動をする団体があり、平和的マーチを敢行し、集会にて意見やメッセージを伝えています。
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アメリカだけの問題ではない黒人への人種差別問題。
大坂なおみ選手や八村塁選手、歌手のKrystal Kayさんや青山テルマさん、お笑い芸人のアントニーさんなど、日本にも「アフリカ系のバックグラウンドを持った日本人」がいることは、周知の事実で、有名人ではなくてもアフリカ系日本人の人に会う事は必ずあります。
日本にも、アフリカやアメリカやその他の国々からの移ってきたり、日本で生まれ育った"日本人"。
彼ら/彼女らが日本にて、日本人の心を持ち、日本人として生活しているのに、肌が黒いからという理由で差別される様な事があるとしたら、それは人種差別といえます。
だから、黒人差別はアメリカやアフリカだけの問題ではありません。
もし、自分たちは関係ないと思うことがあったとしたら、「Black Lives Matter」というメッセージやムーブメントを通して、一度向き合っていただきたければ、この運動が広がり問題が解決する事は、世界の不均衡や不平等を大きく解決する事にもきっと繋がります。
Nike (ナイキ)はこんなハッシュタグも付け加えています「#UntilWeAllWin = Until We All Win (皆んなが勝つまで)」
「有色人種や移民が白人に比べて逮捕率が高く、より厳しい判決を受けがちであること、また保釈金の金額も高く設定されている」という不平等を是正するために設立されたファンド。
ミネアポリス市の市議会議員と地元コミュニティによって2018年に設立された団体。警察署に割り当てられている市の予算を、地域住民の安全と健康を促進させる部門への予算に移動させようと呼びかけている。
黒人LGBTQ+主導のチャリティ団体。ミネソタ州で「強力なキャンペーンの先頭に立つ黒人リーダーシップ」の育成を目的としている。
ジョージ・フロイドの姉によって設立されたファンド。寄付金は、葬儀や裁判の費用に当てられる。
「人種に基づく差別をなくすために、政治的、教育的、社会的、経済的な権利の平等を確保することを使命とする」団体。
「訴訟、教育、および他のアドボカシー(権利擁護)」をもちいて人種的ヘイトや偏見に取り組んでいる。
黒人の若いアクティビストたちによる組織。すべての黒人のための正義と自由を目指している。
スティーブン・ローレンス殺害事件を受けて1995年に英国で設立。人種差別による犯罪やハラスメントの被害者へのサービスを提供している。
教育的なワークショップやトレーニングセッションを通じて人種差別に取り組むことを目的とした、英国の反人種差別教育チャリティ団体。
The Black Women's Health Imperative
黒人女性たちが中心となって設立されたアメリカの組織。「黒人女性と女児の健康を守り、向上させること」を目標としている。
The National Black Women's Justice Institute
研究、技術・公教育の支援、市民参加の促進、情報に基づく効果的な政策を提唱することにより、「(黒人女性やその家族に影響を与える)司法における人種的およびジェンダー的格差を是正すること」を目的としている。
The Black Alliance for Just Immigration
アフリカ系アメリカ人と黒人移民のコミュニティを教育し、「人種的、社会的、経済的な正義のために組織化させ、そうした主張を擁護していく」ことを目指している。
「黒人の権利・認識・リソースを獲得するために、共通のビジョンと政策アジェンダを作成している」個人や組織からなる複合団体。
滞在許可書を持たない黒人移民のためのネットワーク。コミュニティを育成し、資源へのアクセスを促進している。
黒人主導の組織者、弁護士、活動家からなるコレクティブ。公判前拘留や大量収監の制度廃止を目指している。
出展:
New York Times:「8 Minutes and 46 Seconds: How George Floyd Was Killed in Police Custody」
AFPBB News:「心優しい大男」 警官に首押さえられ死亡した黒人男性の素顔
Huffpost Japan :「亡くなったジョージ・フロイドさんはどんな人だったのか《黒人男性死亡事件》」
Footwear News : Black History Month Op-Ed: The Evolution of Sneaker Culture
Complex : A Power Ranking of Rapper Sneaker Collaborations
Real Sound : “スニーカーカルチャー”を捉えたブラックムービー『キックス』
GQ JAPAN :「黒人のいのちは大事だ」(BLACK LIVES MATTER)対「みんないのちが大事だ」(ALL LIVES MATTER)の言い合いをきっかけに、おもったこと