【5分でわかる NFT】今話題のNFTとは?アートやツイートが高額で売れる理由とは?

【5分でわかる NFT】今話題のNFTとは?アートやツイートが高額で売れる理由とは?
日本の小学生が夏休みの自由研究として描いた作品が約80万円で落札されたのをご存じでしょうか?
この小学生の出品する作品すべての取引額の合計が約380万円となるなど、話題を呼んでいます。
そんな夢のような現実をもたらしているのが「NFT」です。
日本でも注目を集め始めているNFTとはどのようなものなのか、わかりやすく解説します。

NFTとはどういうもの?

NFTとは「Non-Fungible Token」の頭文字をとった略語で、日本語では「非代替性トークン」と表現されます。

非代替性とは?

非代替性とは、他のものに替えることのできない唯一無二の性質のこと。

ではどのようなものが「非代替性」として扱われるのでしょうか?

例えばスニーカーで考えてみましょう。AさんとBさんはまったく同じブランド、モデル、サイズのスニーカーを持っています。

しかしBさんのスニーカーには誰もが知る有名アスリートの直筆サインが入っています。

2足のスニーカーは同等の価値があると言えるでしょうか?
同じスニーカーであってもサインが入ることによって、Bさんのスニーカーは「唯一無二のもの」になります。

つまり2足はまったく同じものとして交換することはできないものになります。

これを「非代替性」と言います。

NFTはこの「非代替性」という特徴を持つ「トークン」です。
トークンとは、一般的に印や象徴、または引換券や代用貨幣のこと。

つまりNFTとは「世界にひとつだけの価値を持つデジタル資産のこと」と言い換えることができるのです。

暗号資産とのちがい

NFTも暗号資産(FT)も、データの改ざん等が不可能な取引履歴を、特殊な暗号技術を用いて鎖のようにつなげて維持することでその価値が守られています。

いわゆる「ブロックチェーン技術」です。

ではNFTと暗号資産(FT)との違いはなんでしょう?

NFTはデータの改ざんがほぼ不可能なブロックチェーンの中に「唯一無二の固有データ」を記録することによって、他と交換ができない固有の価値を生み出しています。

一方、暗号資産は一般的な通貨のように、同じ価値のもの同士で交換ができる必要があるので固有のデータは記録されていません。

これが、NFTと暗号資産(FT)の異なるポイントです。

NFTはなぜ話題に?

単なるデジタルデータに過ぎなかったものが莫大な額で取引されるようになったことで、「NFT」を知った人も多いのではないでしょうか?

例えば、Twitter社の創業者であるジャック・ドーシー氏が自身の初ツイートをNFTとしてオークションに出品したところ、291万5835ドル(約3億1640万円)で落札され話題となりました。

NFT技術によって、今までスクリーンショットなどで簡単に複製できていたデジタルデータに、オリジナルであることの証明書が付けられるようになりました。

データの価値がきちんと証明できるようになったことで、希少性に応じた高額な取引が可能になったのです。

NFTのメリット

世界中で話題となっているNFTですが、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主に仕組みや取引の点におけるメリットを簡単に解説していきます。

①さまざまなプラットフォームを横断した運用が可能

「ERC721」は「イーサリアム」上でNFTを発行する場合に、一番メジャーな規格です。

「ERC721」は、データに名称やデザインのような固有の情報を付与することができるという特徴を持っています。

規格が同じであれば、さまざまなマーケットやウォレットなどのプラットフォームで確認・利用が可能です。

手に入れたNFTを別のプラットフォームでオークションにかけることなどが容易にできる点がメリットの一つといえるでしょう。

「イーサリアム」とは…プログラムを実行するための動作環境のひとつ。ブロックチェーンの技術を応用し、「あらゆる契約・取引を自動化する」という機能を持っています。このイーサリアム上で取引される通貨を「イーサ」といいます。

②国や既存の取り組みにとらわれない取引

NFTは、その取引履歴等がブロックチェーン上に記録されており、特定の国や政府、企業などに管理されているわけではありません。

そのため中央集権型の管理状態にはなく、NFTの所有者が自由に取引を行えるメリットがあります。

既存の仕組みや、国をまたぐ際に手間となる手続き等を必要とせず取引することが可能なのです。

③二次流通でも作り手に手数料が入る

アートの売買には、ギャラリーや画廊が顧客に販売する一次市場とオークションや転売などの二次市場があり、作品を制作したアーティストは基本的に一次市場からしか利益を得ることができません。

しかし、NFTでは二次市場で作品が取引された際にも売上の一部や手数料がアーティストに入る仕組みを付け加えることが可能であり、これもNFTの大きなメリットの一つです。

NFTは誰でも買えるの?売れるの?

NFTは誰でも所有することが可能です。

暗号資産を取引するための口座、ウォレットなど始めるにあたりそろえなければならないものを準備さえすれば、誰でも取引を始めることができます。

また、自分の作品をNFTとして販売したいという方も、マーケットにアップロードさえすれば自動的にNFTとして販売することができます。

各業界におけるNFTの事例

NFTはアートやスポーツなどの世界で特に注目を集めているものの、各業界が独立して発展しているわけではありません。

むしろ業界同士が関わり合いながら発展を遂げているといえるでしょう。

特に注目の業界と、それぞれの業界の事例などを紹介します。

デジタルアート

ブロックチェーン技術を利用することで唯一無二の価値が生まれるデジタルデータがNFTアートです。

すでに多くのアーティストが参入し、次々と高額で取引されています。

例えば、デジタルアーティストBeepleの作品「Everydays - The First 5000 Days」は約6935万ドル(約75億円)で落札され、現存アーティストのオークション落札額において第3位を記録。

また、最古のNFTアートといわれている「CryptoPunks」は約1,700万ドル(約18億5,000万円)で落札されています。

ボード エイプ ヨット クラブ Bored-Ape-Yacht-Club

via BAYC

Yuga Labsが手がけた「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」は、類人猿をモチーフとしたデジタルアートである「Bored Ape NFT」を所有することを条件に参加ができるコミュニティプロジェクトです。

世界中で人気を集め、多くのセレブも購入したことで作品の価格が急騰。安いものでも2000万円以上という値がついています。

ファッション

NFTファッションは、有名ブランドなどが手がけるデジタル上のファッションアイテムや、それらが活用できる仕組みです。

例えば、自分の写真や映像にアイテムを着用させたりメタバース上で売買したりすることが可能です。

ファッション業界での事例としては、バーバリーがミシカル・ゲームズとコラボし、ゲーム内で使用可能なNFTファッションを発売しています。

ルイヴィトンもNFTアートを扱うゲーム「LOUIS THE GAME」をリリース。

ゲーム内のアイテムを集めることによって、NFTアートの抽選配布に応募できるようになります。

配布予定の数十種類のNFTアートには、著名アーティストBeepleの作品も含まれており話題となりました。

また、1SECは日本初のNFTバーチャルスニーカーを発売。

直後から100万円以上で落札されるなど注目度の高さがうかがえます。

メタバース

メタバースとは、いわゆる仮想空間や仮想世界のことです。このメタバース内でも土地や建造物、アイテムなどがNFTとして取引されています。

例えば、メタバースの一つである「Cryptovoxels」では、NFT化された土地やアイテムなどを通貨「イーサ」で取引することが可能です。

Decentraland」でも同じように土地やアイテムなどを「MANA」と呼ばれる通貨で売買できます。

メタバース内でゲームをプレイしたりコンテンツを消費したりなど、現実世界と変わらない楽しみ方ができるでしょう。

ゲーム

ブロックチェーン技術を使ったゲームはブロックチェーンゲームやNFTゲームと呼ばれます。ゲームアイテムをNFT化し、それらを取引することもできます。

NFTゲームの先駆的存在が、2017年リリースの「CryptoKitties」です。

ゲーム内のキャラクターが約2000万円で売買された事例もあり、NFTが注目されるきっかけとなったゲームといっても良いでしょう。

トレーディングカード

デジタルトレーディングカードをNFT化し、唯一無二の価値を持たせたものがNFTトレーディングカードです。

最大の成功例は「NBA Top Shot」でしょう。

アメリカプロバスケットボールリーグのNBAはスター選手のハイライト動画などをNFTとして販売。特に人気の選手やハイライトシーンのNFTは1000万円以上で取引されています。

日本ではアイドルグループのSKE48が「NFTトレカ」を発売し即日完売。

とても大きな話題となりました。

スポーツ

実在のチームや選手、試合等を掛け合わせ、新たなスポーツの楽しみ方ができるサービスも登場してきています。

スポーツゲームsorare sorare

via sorare

その代表例として「Sorare」が挙げられるでしょう。

実在するサッカー選手の成績やプレイなどが反映される仕組みのゲームです。

他のユーザーとスコアを競うことができ、好成績を収めると通貨「イーサ」や売買可能なNFTカードなどの報酬を受け取ることができます。

音楽

サブスクリプションで音楽に「つながる」だけではなく、NFTの特性や技術を用いて音楽を「所有する」ことも楽しめる時代へと変化していくと考えられています。

Ultraviolet 3LAU 3LAU

via 3LAU

音楽分野におけるNFTでは、音楽プロデューサー「3LAU」の成功事例が有名です。

過去に制作したアルバムをNFT化して販売。

実に1170万ドル(約13億円)も売り上げました。

日本国内ではPerfumeがメンバー3人の振り付けを3Dデータ化してNFTアートとして販売し、約325万円で落札されています。

NFTが取引されている「マーケットプレイス」

インターネット上の取引市場を表す「マーケットプレイス」は、NFTにも存在しています。

具体的にどのようなものか、主要なNFTマーケットプレイスとあわせて解説・紹介していきます。

「NFTマーケットプレイス」とは

NFTマーケットプレイスとは、これまで紹介してきたあらゆるNFT作品を売買することができるインターネット上の市場やプラットフォームを指す言葉です。

売買前のNFTの制作・発行や、購入したNFT作品の転売も行うことができます。

NFTを利用してお金を稼ぎたい投資家やアーティスト、企業はもちろん、純粋に作品の購入や収集を楽しみたい人など、さまざまな人が参加できる場所がNFTマーケットプレイスです。

主な「NFTマーケットプレイス」

日本国内の代表的なNFTマーケットプレイスの一つが「Coincheck(コインチェック)」です。「CoincheckNFT(コインチェックNFT)」として、ゲームアセットやトレーディングカードなどを取り扱っています。

イーサやビットコインをはじめ、リスクやリップル、ネムなど多くの暗号資産での決済が可能です。

海外のサービスの中でも最大手とされている「OpenSea(オープンシー)」。

ゲームアセットやトレーディングカードのほか、デジタルアートやデジタルミュージックなども取り扱っています。

利用者数が多いため、より豊富なコンテンツや作品を手に入れられるメリットがあります。

NFTの発行が非常に手軽にできる「Rarible(ラリブル)」も押さえておきましょう。

ゲームアセットやデジタルアート、フォトグラフなどを取り扱っているNFTマーケットプレイスです。

独自通貨である「RARI」の獲得でコミュニティ投票への参加権を獲得できるなどの特徴があります。

NFTのリスクや問題点

注目度や取引高などが上がり続けているNFTですが、リスクや問題点がないわけではありません。

特に懸念される問題点を2つ解説します。

興味をもち取引なども考えているのであれば、リスクや問題点も理解したうえで参入していきましょう。

著作権の問題

唯一無二のものであることが証明されるNFTですが、NFT作品の所有者はあくまでも所有権をもっているだけであり、多くの場合は作品の著作権をもっているわけではありません。

著作権の問題はNFTに限ったことではないものの、新しい技術やマーケットであることから法整備やルール化が追いついていない現状があります。

そのため、著作権や商標利用権などの問題が発生した際の対処も容易ではないのです。

実際に、著作権を侵害している可能性のあるNFTコンテンツもマーケットで流通しており、一部では問題となっています。

ガス代(手数料)の問題

NFTでは「ガス代」という表現が使われることがあります。

これは、イーサリアム上で取引を行う際に発生する手数料を示す言葉です。

ブロックチェーンは国や政府、企業が管理しているわけではありませんが、取引においては検証や承認の作業を行わなければいけません。

そうした作業を行う人たち(マイナー)へ支払われる報酬がガス代です。

NFTの問題の一つは、このガス代の高騰にあります。

NFTはイーサリアムブロックチェーンを利用しているため、ガス代抜きでは機能しません。

そうした事情もあり、NFTが加熱すればするほどガス代が高騰することになるのです。

今後は、このガス代を嫌い、別のブロックチェーンへの移行が増えてくる可能性も指摘されています。

NFTの勢いは止まらないが課題も多い

今後ますますNFTの取引は盛んになり、市場規模もさらに大きくなることが予想されています。

しかし、著作権やガス代など課題も少なくなく、新たな問題が出てくる可能性もあります。

いずれは法規制などもされ、それがよくも悪くもNFTに大きな影響をもたらすことも考えられるでしょう。

SNKRGIRL編集部
SNKRGIRL編集部
神戸・東京・ニューヨークのメンバーと共にグローバルに活動するメディアチーム。

このライターの記事一覧

SNKRGIRL編集部
SNKRGIRL編集部
神戸・東京・ニューヨークのメンバーと共にグローバルに活動するメディアチーム。

このライターの記事一覧