ストリートを熱狂させる【Corteizとは】UK発新進気鋭のブランドの正体にせまる

ストリートを熱狂させる【Corteizとは】UK発新進気鋭のブランドの正体にせまる

Nike (ナイキ)とのコラボレーションモデルとなった3作のAir Max 95 (エアマックス95)の発売で、ストリートを熱狂させていた超話題のストリートブランド「Corteiz (コーテイズ)」。

多くを語らずとも影響力は絶大であり、Clint (クリント)というブランド創設者のSNSもかつて非公開だったりと、何かと気になるCoteizについて解説します。

オリジナル「Cade」はA$APも着用

Corteizの創始者であるClint (クリント:Time Outのインタビューに本名のClint Ogbennaの表記あり)は、2017年にコルテイズを立ち上げる前、19歳の時にアデ・サヌシという友人とともに「Cade」というストリートウェアレーベルを立ち上げたことがありました。

このブランドは一過性のもので、2017年末には終了しています。

しかし、Cadeはその短い期間でも、いくつかの露出に成功しており、@GullyGuyLeoのような著名なイギリスのインフルエンサーが着用したり、最初のリリースはA$AP Rockyのショートフィルムに登場したりしています(ロンドンで撮影されたA$AP Rockyのミュージックビデオ「Money Man/Put That On My Set」に登場する鳥瞰ショットの1つに、このレーベルが最初のルックブックを撮影する様子を収めているとか)。

Cadeが解散した理由や、その直後にClintがCorteizを立ち上げた理由は不明ですが、ロンドンにいたことがブランド立ち上げに影響があり、Apexというクリエイター集団の一員であったことを評価しています。

「俺達は、ただお互いにつるんで、自分らしくしていただけなのに、他の子たちがそれを受け入れてくれた。そのうち、俺達はオンラインでバズるようになったよ。」

 

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Clintのアカウントは非公開で功を奏す?

驚くことに、Corteizのソーシャルメディアページは元々非公開でした。

現在は非公開ではないものの、しばらくの間、新しい顧客は「フォロー」リクエストをクリントが受け付けた場合のみでで、それが唯一ブランドの最新リリースを知ることができる方法だったようです。

コルテイズの最初のインスタグラム投稿は2017年9月。

今やブランドの象徴となったアルカトラズ島のロゴがスクリーンプリントされたパーカー3枚の写真でした。

 

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TikTokの動画でスクリーンショットされたように、Corteizのロゴは、「社会で生きることは牢獄のように感じられる」と表現し、Corteizは、"自分が本当にやりたいことを追求するために、育ってきた社会の束縛から逃れること "を意味していると述べ、多くのファンを魅了していきました。

ブランドが輩出するアイテムはTシャツ、パーカー、スウェットパンツ、ビーニー、カーゴパンツ、カーゴショーツ、そしてロゴ入りのソックスなどが中心で、価格もソックス1足が12ポンド、ジャケットが300ポンドまでと幅広く、

クリントによると、ブランドの最初のドロップでは16枚のパーカーしか売れなかったといいます。

その後、Corteizを立ち上げてから約2年後、彼は個人のInstagramに、わずか18ヶ月で50人のフォロワーから10,000人にまでブランドが成長したことを詳細に記した投稿しています。

 

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「この18ヶ月間、アカウントは95%非公開にしていた。見つけるには、知り合いを介してしか方法がなかったし、探索ページもなかった。シードもない。有料広告もない。Pumplexの記事も何もない。俺達だけ。フォロワーもすべてではなく、進歩の1つの指標にすぎない。でも、50人の部屋を埋めるのと、10,000人の部屋を埋めるのでは、その違いが感じられるはず。」

現在、Twitterでは186,200人、Instagramでは679,000人のフォロワーを誇っています。

口コミと予測不能な発売で成長する

多くの成功したストリートウェアブランドが、ゲリラ的な発売による売り切れ続出で有名になる中、Corteizのハイプなアイテムのリリースに対するアプローチは、明らかに異なっていたようです。

ストリートウェアのブランドは通常、特定の曜日や時間を決めてドロップしますが、Corteizは自発的に動きます。

ドロップ (発売)は暗号化され、時間はランダムに公開され、ドロップにアクセスする唯一の方法は、Eメール、Twitter、Instagramで共有されたパスワードを入力することです。

こうしたオンライン・ドロップ・モデルにより、Corteizは購入が難しいことで知られているが、その一方で、ブランドのすべての動きを注視する"デジタル・ストリートウェア・カルト"を構築することとなりました。

また、Corteizが従来のストリートウェアのレーベルよりもさらに魅力的なのは、実際に発売された商品に際しては、とにかく多くの群衆を集めることができる点です。

例えば、ロンドンで正式に発表されたポップアップにおいてのCorteizのリアルドロップは、格安価格のアイテムまたは無料だったりするのです!

オンラインでのドロップと同様に、これらの限定リリースの場所と時間は、リリース前に"ぼんやり"と公開され、ドロップ当日にブランド側はGPSを共有し、ドロップの正確な場所を特定します。

その結果、Corteizのレアアイテムをわずかな費用で手に入れるチャンスを求めて、熱狂する群衆が発生するのです。

最近では、Corteizの最も大きなドロップのひとつは、真っ黒なカーゴパンツをわずか99ペソ(99セント)で購入できるチャンスをフォロワーに提供したこともあります。

Corteizがこのコーディネートをドロップすると、何百人ものCorteizサポーターが、近くでカーゴを販売している99Pストアにアクセスできるチケットを確保しようと、西ロンドンのシェパーズ・ブッシュ・パークに押し寄せていました。

YouTubeのVlogやTikToksで共有された映像には、アルカトラズのロゴが入ったこのパンツを買うチャンスを求めて、ファンが互いに踏みつけ合いそうになる様子が映っています。

その様子を追った動画がこちら↓

ハイプなだけではなく社会貢献もする

Corteizは、ただストリートを熱狂させるハイプなストリートウェアブランドではありません。

創始者Clintは、 "The Great Bolo Exchange "と名付けたドロップを決行した際、ルールは「 ノースフェイス、アークテリクス、ステューシー、モンクレール、シュプリーム、その他有名ブランドのジャケットを下取りしてくれる人に、Corteizが50着のBoloパファージャケットを贈る」というものでした。

Corteizのリリースは毎回何百人ものファンが集まり、Corteizのパファーと交換することに熱狂しましたが、Clintは下取りされたパファーをブランドの財産にするわけではなく、例えば16,000ポンド相当のジャケットであっても、イギリスのフードバンク「Laurence's Larder」に寄付したり、ケニアのナイロビにある孤児院「Fruitful Rescue Centre」に鉛筆、ペン、紙、読本、そして60枚以上のTシャツとトラックスーツのボトムスを寄付したりしました。

 

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かつてあのヴァージルもCorteizを支持?!

クリントのファッション業界における最も顕著なサポーターの一人は、他でもない、故ヴァージル・アブローでした。

ヴァージルは、同ブランドのアルカトラズロゴのパーカーを着た姿を投稿し、クリントの隣に座っている写真も自身のインスタグラムで公開しています。

彼がブランドに与えた最大のコ・サインのひとつは、2021年に出席した最後のメットガラで、コルテイズのソックスを履いてイベントに参加したのを明かしたことでした。

 

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Corteizの他にも、アブローは英国で文化的に起こっていることに常にアンテナを張っていて、2022年春夏コレクションではドラム&ベースのアイコン、ゴールディにスポットを当て、イギリスのスケートボーダー、ルシアン・クラークをLV初のスポンサースケーターにし、DJセットではグライムの名曲にスポットを当てています。

生前ヴァージルが、ロンドンのストリートウェア・シーンで起きていることに注目し、サポートていた中にClintとCorteizは確実に存在していました。

Coteizは転売が嫌い

ここまで熱狂を生むCorteizだと、当然のことながら、Corteizアイテムを転売したり、レプリカを横流ししたりしている転売ヤーが出てきています。

しかし、他のストリートウェアブランドとは異なり、ClintはCorteizのアイテムの転売を阻止するために直接行動を起こしているようです。

自身のインスタグラムのストーリーでは、発売後にCorteizを転売している人を探すためにDepop (海外のZ世代に人気のフリマアプリ)に出向き、その注文を自分で迅速にキャンセルする様子を投稿しています。

また、ストーリーの中で転売屋を罵倒し、転売プラットフォーム上のコルテイズ製品はすべて偽物であると主張したこともあるそうです。

Depopのある転売屋が、対面販売で入手したCorteizの商品を販売していることに気づいたClintは、Twitterでその転売屋を揶揄してこう書きます:

“If ur gonna resell a free tee do it properly, man chargin normal retail price for a tee that signifies a moment in time, ur gnna try shot it for 30 nug u may aswell keep the shirt, I’ll buy that shit back and sell it for 100 just to spite you.”

"(日本語訳)無料(タダ)のTシャツを転売するのならちゃんとやれよ!一瞬でしか得られない俺等のTシャツを普通の小売価格で売るとか、そんならもう自分で持っとけよ!何ならお前から30ドルで俺が買って100ドルで転売してやるわ!!お前に唾吐くつもりでな!!!"

また、Corteizがこの件に関して最も大きな声明を出したのは、Corteizの転売屋が彼らの商品を転売したために強盗に襲われ殴られる様子を撮影した動画を制作し(役者を雇って制作したもよう)、Corteiz転売撲滅へのキャンペーンをリリースしたことでした。

 

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Clintは今後も非公開を継続する予定ではない

2023年1月、Corteizは、アルカトラズ島のロゴがナイキのスウッシュと一緒にNike Town ロンドンのファサードに映し出されるという驚くべきティーザーを発表しています。

これは、かつてアンダーグラウンドのストリートウェアレーベルだったCorteizが、これまでやったことのない最もメインストリームな露出となりました。

皮肉なことに、Corteizは2021年、ナイキの最も人気のあるスニーカーのシルエットの1つであるCortez (コルテッツ)にブランド名が似ているとして、ナイキから訴えられた。その訴訟の結果は、ナイキがクリントに1,850ポンド(約2,29500円)の支払いを求めるというものでしたが、コラボレーション実現への大きな打撃はありませんでした。

しかし、Corteizの筋金入りの支持者の中には、ブランドの人気がますます高まっていることに不満を抱いている人もいるようです。

昨年、ブランドの4周年を祝うドロップのスレッドでは、"ブランドの服の品質が落ちている"、"デザインが一般的になっている"、"Corteizは商品を出しすぎている"、というレビューで埋め尽くされていたり、多くのコメント欄は、Corteizが、メインストリームで大きな成功を収めたイギリスのストリートウェアレーベルTrapstarのようなブランドになってしまうのではないかと心配の声であふれていました。

やがて、あるCorteizのメンバーがClintに前述のスレッドを送り、Corteizの成長を懸念する支持者の意見や反応を共有。

Clintは、Corteizは人気が出てから「妥協」していないと返信し、Corteizが主流になることに腹を立てたブランドの支持者を揶揄する2021年のツイートを共有するほどでした。Redditユーザーが "今後5年間、アルカトラズのロゴを出し続けることはできない"と言うと、Clintは "Nikeは58年間、何をしてきたんだ"と返したほど。

今後、Corteizのハイプが続くかどうかは時間が経たないとわかりませんが、Clintが今、自分のブランドをより大きなプラットフォームで展開し、本当に世界を支配する準備ができていることは明らかであるのかもしれません。

SNKRGIRL編集部
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神戸・東京・ニューヨークのメンバーと共にグローバルに活動するメディアチーム。

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