編集長:質問からずれてしまうかもしれないですけど、私は、ASICSさんは、物作りに対する姿勢というのは、むしろ"狂気"の域にあると思うんです。…いい意味で!(笑)
Kayanoシリーズ1つにしても、これ何番まであるの?とか、すごく細かい設定とか色んな走り方に対する対応とかがあって、ランナーさんとかユーザーに対してここまで細かくアップデートしながら靴を作るっていう、 とてつもない尊敬と感動と衝撃を受けたという意味で"狂気"と表現してしまうくらいすごいなと。
そういうこだわりがあってきっちりちゃんと作ろうとしていらっしゃる企業さんというイメージがあるから、靴作り以外の分野に関しても、PRも然り、そこはきっちり作る姿勢っていう点にコネクトしていくんじゃないかなと感じました。
また、社員の方々も、そういったところにコネクトする人じゃないと採用されないのか、一緒に働くことによってどんどん成長したりするのでしょうか?
村上さん:私は言ってもまだ1年勤務していないので、長年ASICSに所属する、ジャパンチームの皆さんなら私以上に感じることがあるかなと思います。お二人はどうですか?
長沢さん:今は「ASICS SportStyle」という1つのカテゴリーですけど、2019年までASICSTIGERと呼ばれていました。当時は復刻という形をメインにGEL-LYTE IIIとかGEL-LYTE Vが発売されたことがASICS SportStyleの前身なんです。
ASICSは歴史的にものづくりに真摯に向き合い、デザインの細部も機能的な無駄がないぐらい細かく考えて作られてるんです。
それが根付いていたからこそ、履き心地の良さとかっていうのは、いつの時代でも変わらず良いよね、って言われているというのはあるので、ものづくりへのこだわりはブランドとしてのカルチャーのようなものかと思います。
長沢さん:僕とか村上はPRの業界から中途入社した人間なんですけど、スポーツブランドとして競技スポーツやランニングカテゴリーは会社として今日までとても大事にしているフィールドです。
欧米などの視点で見てもこれまでのアスリートファーストのものづくりが受け入れられ、その姿勢が「かっこいい」という形でASICSブランドの支持につながっていると捉えています。
一方で、お客様の生活様式や価値観が多様になった昨今では、ライフスタイルやスポーツの垣根がなくなってきました。そのため、スポーツだけでなく、あらゆるマーケットやカルチャーに響くマーケティングを展開できるように、さまざまなバックボーンを持つ人たちが活躍できる環境があることはありがたいですね。
また、今ASICSにとっていい風が吹いているのも、そういった今までのブランドの歴史が蓄積されながら、異なるバックボーンを持つメンバーが力を合わせてアウトプットできていることも一助になっているように思います。
実際に、村上のチームが去年、パリのファッションウィークで開催したイベントでは、多くのファショニスタが沢山来場してくれて、その熱を見て感じることができました。
ものづくりからマーケットの熱量、や世界観など様々なことがマッチしてるからこそ、この状況を作れてるのかなという、そんな気がしてます。
編集長:こう繋がるだろうというスタッフ同士が、どんどん作っていこうというカルチャーのもともっと一緒に面白いものを作っていけるという、ものづくりにこだわっているからこそ、いい人も自然と集まっているという状況があるんですね。
なんならそれが世界規模で、グローバルのチームにもそういう人が結構いるみたいな?
村上さん:はい。あと入社して面白いなと思ったのが、海外のメンバーとかも「Kaizen(改善)」って日本語をちゃんと理解してるんですよね。
常にものづくり側じゃなくても、マーケ側やPR側とかでも、「じゃあこれをやったから、次改善するにはどうするか」みたいなことをきちんと考えるマインドセットができたりもするんです。
そういった考え方から、今のベストな状態で満足せず、常にアップグレードしていき、それが結果に繋がり、更にスタッフの熱量もあがっていってるんじゃないかなと感じます。
編集長:なるほど。「改善」っていうのがテーマというか。会社に掲げていたりするんですか?
長沢さん:それはしてないですけど、みんな細かく振り返り、反省して、改善してという向上心がすごいです!