2025年、トレンドは「盛る」から「選ぶ」へ
2025年のスニーカーシーンを振り返ると、派手さや話題性だけで語られる一年ではなかったことがよく分かります。
むしろ印象的だったのは、スニーカーが再び日常の装いに深く入り込み、「どう履くか」「なぜ選ぶか」が問われる存在になったということ。
コラボレーションの成熟、名作復刻の意味、そして明確なトレンドの軸。
2025年は、スニーカーが単なる流行アイテムではなく、ファッションの中で確かな役割を持ち始めた一年でした。
2025年は「クオリティー」が問われた年
2025年のコラボレーションは、数の多さではなく内容の濃さが際立ちました。
どのモデルにも共通していたのは、「なぜこの組み合わせなのか」が自然に伝わってくること。
TOGA × ASICS、GANNI × New Balance、Marni × HOKA、Sandy Liang × Salomon、KNWLS × Nike、Story mfg × ASICS、Shuhutong × ASICS、atmos × VandyThePink × ASICS、Patta × Nike Air Max 90、Maha Amsterdam × Nike Wmns Total 90 Shox Secutor、Kith for Nike、Undefeated × Air Jordan 4、Tomo Koizumi × Nike Air Superfly、ASICS Gel Cumulus 16 “TOMO”、VAQUERA × CONVERSE、sacai × UGGなど、錚々たる一連のコラボは、パフォーマンスシューズを“ファッションとして成立させる”という明確な意志を感じさせます。
ボリュームと色彩で完全にラグジュアリーへと引き上げたデザインもあれば、はガーリーとテックの境界を軽やかに横断したデザインもあったり、それぞれのカルチャーや地域性を背景に、説得力のあるアップデートを遂げ、フットウェアデザインの新境地を開拓したような素晴らしい内容の数々でした。
2025年は、「コラボであること」よりも、「どんな文脈を持っているか」が評価された一年だっといえます。
復刻の中で際立った、絶対的存在
数多くの復刻があった中で、最も象徴的だった一足として挙げられるのが、Air Jordan 1 “Bred”です。
何度目の復刻であっても、このモデルが放つ存在感は別格。
トレンドが細分化する中で、Bredはスニーカーがカルチャーであり続けることを静かに証明し、2025年という一年に確かな“芯”を通しました。
2025年の足元を支配した4つのキーワード
アニマル柄が主役に
adidas Sambaのカウプリントやレオパード、Puma Speedcatのアニマル柄シリーズ、Kith × Nike Footscapeなど、2025年はアニマルモチーフが足元に溢れました。
派手さを競うのではなく、素材感や配色で“品よく取り入れる”アプローチが主流だった点も特徴です。
メリージェーンスニーカーとバレエコアの彩り
バレエコアの流れを汲むメリージェーンタイプのスニーカーは、2025年に完全に市民権を獲得。
フェミニンでありながら実用的という、新しいバランス感覚が支持され、SNKRGIRLでも特集されるほど存在感を放ちました。
ロープロファイルスニーカーの主流化
SambaやSpeedcatに代表されるロープロファイルスニーカーは、2025年のスタンダードに。
厚底一辺倒だった流れから、より軽やかでフラットな足元へと、明確なシフトが見られました。
ローファースニーカーの席巻
New Balance 1906Lの爆発的ヒットを起点に、ローファータイプのスニーカーが一気に拡大。
きちんと感と快適さを両立したこのジャンルは、多くのブランドが追随し、2025年を象徴する存在となりました。
2025年は「選び方」が洗練された年
2025年のスニーカーシーンを象徴するのは、
ローファースニーカー、ロープロファイル、バレエコア/メリージェーン、アニマル柄という4つの軸。
どれも一過性の流行ではなく、今のライフスタイルや価値観に深く根ざした選択肢でした。
盛るためのスニーカーから、自分のスタイルを完成させるためのスニーカーへ。
2025年は、そんな変化がはっきりと見えた一年だったと言えるでしょう。