『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』を読んで私が感じた驚き、そして気付き

『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』を読んで私が感じた驚き、そして気付き

2023年5月に刊行されたアンジェラ・チェン著、羽生有希訳の『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』を読んで、私が感じたことや、この本を読んで得た私の経験をぜひみなさんにも味わってほしい!

アセクシュアルの方はもちろん、アロセクシュアルの方にも読んでほしい1冊です。

INDEX

『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』を読んで

『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』(左右社)

アンジェラ・チェン著(羽生有希訳)

 

私がこの本の存在を知ったのは、この本を出版されている左右社から、プロローグ・第1章の試し読みが公開されていたことがきっかけでした。

今現在も試し読みは公開されているので、ぜひ気になった方は読んでみてほしいです!

 

『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』は、「他者に性的に惹かれない」アセクシュアルの視点から、私たちのセックス のあり方や社会の常識を揺さぶる、唯一無二のルポエッセイ。

交際・結婚していたらセックスするのは当たり前?

「男らしく」あるために、男がセックスを主導しなければというプレッシャー。

恋愛と友情を区別するのはセックスなのか。

同性同士の恋愛ではいつもセックスが中心にされる。

フェミニストはいつだって性的に奔放? 「性的に抑圧されているムスリム女性」「性に関心のない障害者」「おしとやかなアジア人女性」というステレオタイプとアセクシュアルの狭間で葛藤。

恋愛、障害、フェミニズム、男らしさ、アイデンティティ、人種──

ロマンティック・アセクシュアルの当事者である著者が、「他者に性的に惹かれない」というアセクシュアルの視点から、私たちの常識を揺さぶる。

著者の経験と100人のインタビューにもとづく唯一無二のルポエッセイ。

 

さらに、試し読みの他に「#セックスって本当に必要?」というハッシュタグとともに公開されていた本文中からの引用文にも私の心がグッと掴まれました。

 

#セックスって本当に必要?

セックスできるかNetflixを見れるかだったら、私はNetflixを選ぶね

明白な同意をしたことは何度もあるけど、心の中ではそうしたくなかった

「セックスをしなくていいんだよ」と聞いたのはそのときが初めてで、それは信じられないくらい開放的だった

体が見えたら、スイッチが入るの?わかんないな

 

本作の中ではアセクシュアルを「性的惹かれを経験しない人」とされています。

「性的惹かれを経験しない人」とは、身体的な理由で特定の人とセックスをしようとする欲望だと説明されています。

この本をおすすめしたい理由

自分自身がアセクシュアルだと自認している当事者の方はもちろんですが、最近アセクシュアルという言葉やエース、LGBTQ以外のセクシュアリティに関する単語を聞くようになったという方、

そして、自分自身がアロセクシュアル、つまり性的惹かれを経験すると自認している人にも読んでほしいと思いました。

 

この本『ACE アセクシュアルから見たセックスと社会のこと』を読むことで、新しい“気づき”があるに違いないと思うと同時に、読書として面白い時間になるのではと感じたからです。

 

文中には注釈や参考文献も明記されていて、とても丁寧な作りで、まさに“決定版”とも言えるのではないかと思うほど、私自身にとっても特別な1冊になりました。

すでに持っている自分自身の感覚をもう1度疑って、新たな視点から見てみたいという方にも、ぜひおすすめしたい1冊です。

私と“アセクシュアル”という言葉との出会い

最近ではアセクシャルという単語を聞いたことがある人も増えてきたのではと感じています。

本文中でも著者が「十四歳のとき、アセクシュアリティという語に出会った。ほとんどの人と同じように、そう、オンラインで。」と話していますが、私自身も例外ではなく、アセクシャルという単語には、インターネットを通して出会いました。

自分自身、ドラァグクイーンに関心があったり、海外ドラマの影響でさまざまなセクシュアリティが存在することに関して、自ら積極的に調べた経験があったりしたことがきっかけです。

 

アセクシュアルという単語に初めて出会った当時、私は中学生でしたが、それまで学生生活では制服は男女で分けられることに対して疑問を抱いたことがなかったですし、男性・女性以外の性に関しては学校での教育の中では教えてもらえませんでした。

当時は自分の世界は自分の関わっているコミュニティのそこだけ、そこが全てだと感じていましたが、田舎ということもあり、閉鎖的なコミュニティであっただろうし、今思い返してみても私自身も限られた環境や人間関係だったと感じます。

さまざまなセクシュアリティが存在すると知ったあとでも、不思議に思ったことはあっても友だち同士の会話の中で「これってなんでなんだろうね」と言葉にするのみで、その先のアクションに関しては考えたことはありませんでした。

 

当時から興味のあるものやことに関して調べるのが好きだったので、そんな中で映画や海外の文化にYoutubeを通して出会い、「アセクシュアル」や他のセクシュアリティの単語にも出会うことになりました。

友人たちも私が関心のあることや好きなことに対して積極的に話を聞いてくれていたので、私も気になって調べたことを日常会話として共有していました。

大学に入ってから、初めてさまざまなセクシュアリティの在り方に興味があるという共通の話題で盛り上がれる友だちができたり、文学を通してジェンダーの研究をしているという教授とも出会い、

さらに語学留学という形で海外でも学ぶ機会が作れたことで、海外でジェンダーの研究をしている教授や学生とも出会うことができました。

この出会いは、1人で関心のあるジェンダー論に関して掘り下げていっていた自分にとって大きなターニングポイントになり、初めて“情報交換”や“意見交換”ができる場所ができました。

この本を読んで得た気付き、驚き

ただ、LGBTQ+コミュニティにも関心があり、積極的に情報をアップデートしようとしていたものの、この本を読んで新たな発見や驚きがありました。

 

アセクシュアルだと名乗るということは、一体どういうことなのか。

世間には“アセクシュアル”というと、セックスのことを考えただけでも拒否反応が出る、セックスとは無縁な人間と考える人も少なくないと思います。

実際には“アセクシュアル”といってもさまざまで、決して二項対立的な考え方はできません。

“アセクシュアル”は、他者に対して性的惹かれを経験しないという点は一致しているものの、アセクシュアルという単語の中にも在り方はさまざまで、とても幅広い表現なのです。

 

恋愛的に他人に惹かれること、性的に他人に惹かれること、美的に他人に惹かれることなど、“他人への惹かれ”に対して分解して考えたことがある人はどれくらいいるんだろう?とこの本を読んで疑問に思いました。

この本を読んで、“他人への惹かれ”がさまざまなパターンであり得ることというのは、自分自身もすごく納得のいくものでした。

全ての“他人への惹かれ”がひとまとめにされている中で、その“惹かれ”とあたかも当然のようにセックスがセットになっている部分について、疑問を持たずに受け入れていると感じた人は、ただマジョリティ側でたまたまその在り方に適応できているからなのかもしれません。

自分自身の“感覚”を見つめ直すチャンスをくれるはず

恋愛とセックスは、当然のごとく密接に結びついているものだと解釈されがちで、社会的にもそう思わされている部分があるのではと感じています。

あらゆる場面で恋愛とセックスがデフォルトとして考えられていて、強制的な性愛とも言えるほど、理不尽な社会についても考えさせられました。

この本は、社会で当然と信じられている固定概念を見つめ直し、今まで気になったことがなかった小さな引っかかりも改めて掘り下げる・見直すきっかけをくれるはずです。

左右社によって公開されている試し読みはこちらから。

編集部まりん
編集部まりん
編集者/ライター まりん。Z世代。コスメ系コンテンツ担当。韓国アイドル&コスメオタク。好きなスニーカー「New Balance 327」

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