インヒールスニーカー / ウェッジスニーカー特集|流行の背景と歴史、元祖モデルから最新トレンド

インヒールスニーカー / ウェッジスニーカー特集|流行の背景と歴史、元祖モデルから最新トレンド

2010年代前半、世界のファッションシーンを席巻したムーブメントに「インヒールスニーカー」がありました。

ボリューミーなハイカット、内部には約5〜8cmのヒール(ウェッジソール)を秘め、“スニーカーの歩きやすさ”と“ヒールの脚長効果”を同時に叶える一足として多くの女性を虜にし、一世を風靡したフットウェアデザイン。

ハイブランドからスポーツブランドまでがこぞって参入し、ストリートを埋め尽くした伝説的カテゴリーといえます。

本記事では、その歴史と代表作を網羅的し、インヒールスニーカーの魅力を徹底解説いたします!

インヒールスニーカーとは

Nike Dunk Sky Hi Khaki Green

見た目はスポーティなスニーカー、それでいて内部にかかとが高くなるインヒールを搭載した構造のスニーカーを「インヒールスニーカー」といいます。

外側からは厚底シューズや通常のハイカットスニーカーに見えるため、自然に身長を高く、脚を長く見せられるのが魅力。カジュアルに馴染みつつ、パンプス級のスタイルアップを狙えることから、ファッション感度の高い女性のマストアイテムとなりました。

ウェッジスニーカーといわれるスニーカーもありますが、ウェッジヒールが外側に見えていて、明らかにヒールが付いていると分かるデザインもウェッジスニーカーではありますので、インヒールスニーカーとなるにはやはり「内側(=イン)」にヒールがある点が、インヒールスニーカーとの大きな違いでしょう。

インヒールスニーカーの誕生|元祖「Isabel Marant」

ブームの火付け役は、フランスのIsabel Marant(イザベル・マラン)が2011年ごろに発表した「Bekett(ベケット)」。

ミランダ・カーやビヨンセといった世界的アイコンの愛用が波及力を持ち、パパラッチショットを通じて一気に拡散しました。

Isabel Marant Bekettの特徴とデザイン

デザイン:複数の大きなベルクロストラップで甲をホールドする、存在感あるルックス。

シュータン:厚みのある“ピロータン”が足首を強調しつつ、華奢見えを演出。

素材:上質なスエードをメインに採用。ラグジュアリーでありながら肩の力が抜けたムード。

影響:「ボリューミーなスニーカーの中にヒールを隠す」という新機軸を確立し、各ブランドがフォロワーを続々投入する契機になりました。

 

スニーカーブランドのインヒールスニーカー

イザベル・マラン発のトレンドは、NIKE/adidas/PUMAといった本家スポーツブランドへ瞬く間に飛び火。

各社は名作アーカイブをベースにインヒール化し、機能美とブランドDNAを融合させた名作を次々に生み出しました。

NIKE(ナイキ)のインヒールスニーカー

当時の中心的プレイヤー。バリエーション、限定カラー、素材違いの広さは群を抜き、街で見かけない日はないほどの人気に。

Nike Dunk Sky Hi(ダンク スカイ ハイ)

定番「ダンク」をベースにした象徴的モデル。大きなスウッシュ、丸みのあるトゥで汎用性の高いバランスが魅力。

Nike Air Revolution Sky Hi(エア レボリューション スカイ ハイ)

かかとにビジブルエアを搭載。足首のベルクロでホールド感とメカニカルな印象を両立。

Nike Air Force 1 Sky Hi(エア フォース 1 スカイ ハイ)

名作AF1の文法はそのままに、内部ウェッジでスタックを底上げ。トゥボックスの通気孔パターンが物語るクラシック性と、プラットフォーム的な存在感のバランスが魅力です。

Nike LunarElite Sky Hi(ルナエリート スカイ ハイ)

ランニング系テクノロジーを移植した近未来派。メッシュと合成素材を組み合わせ、ルナロンの波形クッショニングにより軽やかな歩行感を実現します。

adidas(アディダス)のインヒールスニーカー

adidasは、ブランドのアーカイブを活かした定番モデルをベースに、インヒール仕様へと再構築する「Up」シリーズを展開してきました。

シルエットやアイコン性はそのままに、内側に高さを仕込むことで、スタイルアップとファッション性を両立させているのが特徴的です。クラシックの美学を崩さずに“高さ”という要素を加えたこのアプローチは、当時のウィメンズスニーカートレンドを象徴する存在でもありました。

adidas Extaball Up(エクスタボール アップ)

ビッグタンと巨大なトレフォイルロゴが強烈なインパクトを放つデザイン。モデルによってはヒールバックに大胆な「adidas」ロゴが配され、ストリート感とインヒールのギャップが際立ちます。

adidas Superstar Up(スーパースター アップ)

シェルトゥとスリーストライプスという、アディダス不変のアイコンを残したままインヒールを内蔵したのがこちら。おなじみの顔立ちでありながら、自然にスタイルアップできるデザインです。

adidas Amberlight Up(アンバーライト アップ)

よりバスケットシューズ色の強いモデル。足首をしっかりとホールドする太めのベルクロストラップが存在感を高め、ボリュームのあるフォルムとインヒールの組み合わせが印象的です。

adidas Honey Up

キャンバスやレザー素材を用いた軽やかな表情が特徴。ガーリーさとストリート感を併せ持ち、デイリーに取り入れやすいインヒールスニーカーとして人気を集めました。

adidas Basket Profi Up(バスケット プロフィ アップ)

スエード素材を用いたクラシックなバスケットボールシューズをベースに、インヒール仕様へとアレンジしたモデル。落ち着いた佇まいの中に、さりげなく高さを忍ばせたデザインが魅力です。

PUMA(プーマ)のインヒールスニーカー

PUMAのインヒールスニーカーは、流線型のフォームストライプが生み出すスポーティさと、どこかモードな空気感を併せ持つ点が大きな魅力です。

アスレチックブランドとしての機能美を土台にしながら、女性のスタイリングを意識したシルエットと高さのバランスを追求しており、インヒールスニーカーブームを語るうえで欠かせない存在となりました。

Puma Sky Wedge(スカイ ウェッジ)

PUMAのインヒールスニーカーを象徴する代表作。足首に配された2本のベルクロストラップが高いホールド感を生み、レイヤード感のあるアッパーデザインが構築的な印象を与えます。スポーティでありながら存在感が強く、ストリートスタイルの主役として支持されてきたモデルです。

Puma Vikky Wedge(ビッキー ウェッジ)

スエード素材と発色の良いカラーリングが特徴の、ややカジュアル寄りな一足。丸みのあるフォルムと柔らかな表情が、インヒール特有の強さを中和し、デイリーに取り入れやすいバランスに仕上がっています。フェミニンさを残したいスタイリングとの相性も良好です。

Puma Classic Wedge(クラシック ウェッジ)

PUMAの名作「Suede」をベースに、そのままインヒール仕様へと落とし込んだモデル。

無駄な装飾を削ぎ落とした端正なデザインに、さりげなく配されたゴールドロゴが上品なアクセントを添えています。スポーティさよりも洗練されたムードを重視したい人に選ばれてきました。

Reebok(リーボック)のインヒールスニーカー

Reebokのインヒールスニーカーは、フィットネスブランドとして培ってきた機能性をベースに、女性らしいラインやエレガンスを丁寧に掛け合わせた点が特徴でした。

ボリュームで主張するのではなく、足に沿うシルエットや履き心地を重視したアプローチは、他ブランドのインヒールスニーカーとは一線を画しています。また、著名人とのコラボモデルも話題を呼びました。

Reebok Freestyle Hi Wedge(フリースタイル ハイ ウェッジ)

Reebokを象徴する「Freestyle Hi」をインヒール仕様に再構築した定番モデル。

2本の細いベルクロストラップがシグネチャーとなり、足首をすっきりと見せつつ高いホールド感を実現しています。柔らかなガーメントレザーと細身のシルエットにより、足に吸い付くようなフィット感が生まれ、スポーティでありながら洗練された印象を与えます。

Reebok Alicia Keys Wedge(アリシア・キーズ コラボ)

Alicia Keysという、スニーカー・ファッションとカルチャーのメッカ "ニューヨーク"出身の人気アーティストとしての感性を色濃く反映したコラボレーションモデル。

スタッズ使いや大胆な配色など、アクセサリー感覚で楽しめる装飾性が特徴で、インヒールスニーカーを“ファッションピース”として昇華させた一足といえます。シンプルなスタイリングに一点投入するだけで、足元に強い個性をもたらしました。

Reebok × Melody Ehsani(メロディー・エサニ コラボ)

エンパワーメントや自己表現をデザインに落とし込むことで多くの女性からの支持を集めるデザイナー/ブランド「Melody Ehsani」とのコラボレーションらしい、彼女世界観が反映されたモデル。

メッセージ性のあるディテールや配色を取り入れつつ、Reebokらしいフィット感と安定感を両立しています。インヒールスニーカーでありながら、カルチャーや思想を感じさせる点が大きな魅力でした。

 

Converseのインヒールスニーカー

Converseのインヒールスニーカーは、オールスターに代表される不変のアイコン性を軸にしながら、「高さ」という要素を極めてコンバースらしい方法で取り入れてきた存在です。

あくまで主役はキャンバスやトウキャップ、シューレースといったクラシックなディテール。インヒールはそれを邪魔せず、スタイルや重心を自然に整えるための“裏側の仕掛け”として機能しています。

定番の延長線上にありながら、足元の印象を確実に変えてくれる──それがConverseのインヒールスニーカーの魅力です。

Converse Chuck Taylor All Star Lux(コンバース チャックテイラー オールスター ラックス)

お馴染みのトウキャップとアイレット配置を保ちつつ、内部ウェッジで身長と重心をさりげなく補正。クラシックの美点を損なわずにアップリフトします。

Isabel Marant × CONVERSE "CHUCK 70 OX/Hi & CHUCK WEDGE RD"

Isabel Marant × CONVERSE "CHUCK 70 OX/Hi & CHUCK WEDGE RD"

via Isabel Marant

ラグジュアリーとストリートを軽やかに横断する、インヒールスニーカーの元祖ブランドでもある「Isabel Marant」ならではの感性が落とし込まれたコラボレーション。

Chuck 70のクラシックなキャンバスアッパーをベースに、ウェッジ構造を組み合わせることで、コンバースの定番シルエットにさりげない高さと女性らしいバランスを加えています。
主張しすぎないデザインながら、履いたときのスタイルアップ効果は明確。力の抜けたパリジェンヌ的ムードと、コンバースの普遍性が自然に溶け合った一足です。

VAQUERA × CONVERSE Chuck Taylor All Star XXXHi Slouch Wedge & XHi Slouch Wedge

VAQUERA × CONVERSE Chuck Taylor All Star XXXHi Slouch Wedge & XHi Slouch Wedge

via Nike

NYで設立したデザイナー集団によるブランド「VAQUERA」とのコラボモデルとして発売されたのがこちら。オールスターにインヒール構造を組み込んだ挑戦的な一足。高さのあるウェッジヒールとルーズなスラウチシルエットが、反骨的でフェティッシュなムードを際立たせます。

 

SKECHERS(スケッチャーズ)のインヒールスニーカー

スケッチャーズのインヒールスニーカーも「SKCH +3」として3インチ(約7.5cm)インヒールを明確に訴求。スタイルアップを前面に押し出しました。

SKCH +3 Raise Your Glass(レイズ ユア グラス)

シリーズの中心。足首の大きなベルクロでシルエットを引き締め、3インチ相当のウェッジで明快にスタイルアップします。

SKCH +3 High Rise(ハイ ライズ)

スニーカーブーツ的な丈感で、秋冬のボリュームコーデに好相性。高さを出しつつ、歩行時の安定も確保します。

Daddy’s Money(ダディーズ マネー)

ティーン〜ギャル層に向けた別ライン。ラメやスタッズ、アニマル柄などの装飾で“見せるウェッジ”を加速させました。

インヒールスニーカーの軌跡|女性スニーカーに継承されるもの

インヒールスニーカーは、単なる厚底ではありません。スポーツシューズの機能美と、女性のスタイルアップ欲求を高い次元で両立させた発明でした。

元祖「Isabel Marant」のラグジュアリーで大胆なデザインを起点に、NIKEやadidasなどのスポーツブランドが各自のテクノロジーとデザインコードを注入し、スニーカー史に独自のジャンルを築いたといえます。

当時のブームのピークはひと段落しましたが、“無理せず美しく”という設計思想、努力感を見せないスタイルアップの美学は、現在の女性スニーカーブームへ確かに継承されています。

SNKRGIRL編集部
SNKRGIRL編集部
神戸・東京・ニューヨークのメンバーと共にグローバルに活動する編集部メディアチーム。

このライターの記事一覧

SNKRGIRL編集部
SNKRGIRL編集部
神戸・東京・ニューヨークのメンバーと共にグローバルに活動する編集部メディアチーム。

このライターの記事一覧