毎年3月26日にその誕生をお祝いする「Air Max Day (エアマックスデー)」。そんなエアマックスファンやマニアにとって特別な日に向けてエアマックス愛に溢れる女性コレクター「菊地真奈美さん」によるエアマックス・連載コラム。
第3回目となる本記事は
「WMNS (ウィメンズ) Air Max の変遷」について!
(以下、菊地さん執筆コラム)
時代の流れと共に変わり行くWMNSモデルたちは、時代のトレンドやフェミニンさと力強さを兼ね備えたモデルへと進化しています。
今回は、AIR MAXにフォーカスして過去とこれからのWMNSモデルを紹介したいと思います!!
2015年に誕生したウィメンズAir Maxモデル
LIBERTY × NIKE ”SUMMER 2015 COLLECTION”
via sneaker freaker
ロンドンを拠点に展開する老舗百貨店「Liberty」。NIKEとLibertyのコラボは「Liberty print」と呼ばれる花柄のデザインを使用することが印象的で、毎シーズン柄を変えリリースされて来ました。
2015年サマーではイメージ深い花柄ではなく、1972年にシルクスカーフ用にデザインされた「Merlin print」を使用しています。正方形や円をモチーフとした幾何学模様で構成されたプリントは、今までのイメージをガラっと変えるデザインとなっています。
このコレクションでは、全6種類のラインナップの内、AIR MAXシリーズは2型のリリースとなっていました。
AIR MAX 90 ULTRA
2015年シーズンにリリースされたULTRAボディは、既存のモデルに計量化を加えています。ボディのシルエットはパーツ同士の圧着によりシャープ感を出し、オリジナルにはないスッキリとしたスタイルになります。
ボディ全体にインパクトのあるMerlin printを施し、その上からクリアパーツ・レザーが入ることで柄物ですが、主張しすぎない印象の1足です。
AIR MAX THEA
女性のために作られた軽量に特化したAIR MAXが大きな特徴でもあります。
フォアフットにはAIR MAX2でも使用されているクッション性の高いファイロンミッドソールを採用し足当たりや曲げ伸ばしのしやすいモデルになります。
AIR MAX THERのアッパーには他のモデルと比較するとステッチが少ないのですが、実際は幅が狭いのでサイズ感は要注意です。
NIKE WMNS AIR MAX 1 ULTRA “CITY COLLECTION”
世界各都市の特徴にインスピレーションを受けたシティーコレクション。
WMNSモデルでリリースされるシティーコレクションは、毎回印象的な配色・柄・モチーフが多いです。
こちらのコレクションは、都市の代表的な花と土地柄から着想を得た大胆なモデルになります。
6都市から構成され、ニューヨークとパリは、薔薇と百合をモチーフにし、ニューヨークのモダンな風景と街並み、パリのロココ調のパステルカラーが採用されています。
東京とロンドンは、桜とバラで表現され、日本の代表的な桜に伝統的な藍染の藍色用いています。対してロンドンは、黒ベースに紅白のハッキリとした色遣いはゴシック建築をイメージしています。
上海とミラノは、百合と梅を組み合わせています。上海は、中国の伝統的なカラーである赤を大胆に使用したモデルとなり、ミラノはイタリア・ルネッサンスを彷彿とさせるブロンズカラーが落とし込まれています。
スニーカーには、アクセサリーとして各都市の名前が刻印されたデュブレとスニーカーと同柄のバッグが付属していました。
現在WMNSモデルは、アクセサリーのバリエーションもとても多くなりましたが、当時は珍しいものでした。
ベースとなるAIR MAX 1 ULTRAは、新しいアウトソールが採用されています。オリジナルと比較すると使用材料も少なく軽量化され、アウトソールに入る深い凹凸が屈曲性を高めています。
既存のデザインは生かしたまま、「軽量化」を意識したモデルが多いのもこの年の特徴です。
2016年に誕生したウィメンズAir Maxモデル
via sneaker news
NIKE WMNS AIR MAX ZERO ULTRA “TOKYO”
2016年のシティーコレクションは、前作同様6都市にフォーカスされリリースされました。
中でも東京は、2015年のAIR MAX DAYに28年の歳月を経てリリースされた「AIR MAX ZERO」使用されました。
こちらのモデルは「日本の伝統」を表現しています。
アッパーは、桜をイメージした淡いピンクに日本の伝統的な文様である「青海波(せいがいは)」を用いたモデルになっています。
青海波は電波の模様にも見えますが…れっきとした文様で、東京オリンピックの公式グッズや非売品とされている東京オリンピックモデルのAIR MAX 95にもサイドパネルに落とし込まれています。
2015年にAIR MAX ZEROがリリースされてから7年経ち街中で履いている方も見かけなくなってきましたが、個人的には日本やWMNSのイメージが落とし込まれたスニーカーの中でも印象深い1足です。
2017年に誕生したウィメンズAir Maxモデル:NIKE WMNS AIR MAX 97 LX SWAROVSKI
2017年に20周年を迎えたAIR MAX 97がラグジュアリーな1足として女性のために作られたモデルです。
ボディには、スワロフスキー社製のクリスタルが約55,000個使用されています。アッパーは熱圧着で構成され、シューレース周りはオリジナルの要素は残しつつボリューム感を抑えたスッキリとした足元を演出してくれます。
カラーバリエーションも多彩で、同時にブラック、18年にメタリックゴールド、21年にポーラーブルーと時を経て新色も登場しました。
動くたび、光の屈折でスワロフスキーの輝きが増すガラスの靴の様な1足ですね。
2018年に誕生したウィメンズAir Maxモデル:NIKE WMNS AIR MAX DIA SE QS
ファッションの中での厚底ムードが高まって来た物が数多くリリースされるのがこの年です。
ハイブランドから来た流れをスポーツブランドも取り入れ、開発に携わる全ての担当を女性が担い作られたのがこちらのモデルでした。
via Nike
via Nike
一目で目を引く大きなエアバッグと、対してつま先にかけての細めなラインは今までのAIR MAXにはないデザインです。素材感も斬新で、1stカラーはアッパーにTPE素材を使用し大胆なシースルー感が印象的で、続いてメッシュやレザー、スウェード等素材の違いでガラッと表情を変えるモデルでもあります。
スニーカーを履く女性への想いが込められた1足になっていますね。
TPE素材は他のモデルでも使用され始め、ソックス合わせを同時に楽しむ事が出来るモデルが増えてきました。
2019年に誕生したウィメンズAir Maxモデル:NIKE WMNS AIR MAX FF 720
via Nike
2019年AIR MAX 720のリリースを機に、WMNSモデルとしてスニーカーとサンダルを掛け合わせたユニークで斬新なモデルがリリースされました。
厚底のトレンドは継続しつつも日々仕様が変化して行きますが、AIR MAXも同様に新しいモデルたちはAIRの大きさが年々厚みを増し、フルレングスのAIRでは最大級のソールとなったのがこの年です。
1stカラーは、落ち着いたモノトーンでまとめられ、質感はしっとりした柔らかみのあるレザーで仕上げられています。特にホワイトボディは、ボディのレザーがアイスグレーの様にも見えるので、ソールのカラーとのコントラストが好まれ人気でした。
また、ボディのロゴもトゥボックスとヒールに刻印で刻まれているのが主張し過ぎないポイントです。
高すぎず厚すぎない 3.5cm〜4cmが黄金比とも言われている中で、こちらのモデルは3.8cmの高さのあるソールを使用。自然な厚みで履けるのは全体のバランスも良くなりますね。
今までのAIR MAXのイメージをガラッと変えるこのモデルは、スニーカーの立ち位置やコーディネートの振れ幅を大きく広げたモデルでした。
2020年に誕生したウィメンズAir Maxモデル:NIKE WMNS AIR MAX VERONA QS
via Sneaker News
1992年、初のWMNSモデルとしてリリースされたAIR VERONAをベースに現代風にアップデートしたモデルです。
AIR MAX 200のユニットを搭載したソールは、厚底を表現したポッテリとしたシルエットに、張り出す様なシルエットのヒール周りは文字通り「今っぽい」スニーカーの代名詞となりました。
注目するのは高さだけでなく、つま先周りのシルエットも秀逸です。一見、全体的なボリュームが大きく見えがちですが、つま先にかけてのシャープさがスタイルアップのポイントでもあります。
1stカラーは、サイドのswooshロゴが刺繍になっており、他のモデルとの違いも垣間見えます。
女性の足型から作られたモデルが28年の時を経て更なる進化を遂げた1足です。
2021年に誕生したウィメンズAir Maxモデル:NIKE WMNS AIR MAX FURYOSA NRG
via Nike
なんと言っても、このモデルの最大のポイントは「ダブルスタック ビジブルエア」。AIR MAX 1と270°のソールを重ね合わせ、今までに無いクッション性を生み出しました。
AIR MAX 98のボディを連想させるウェーブデザインに、高めのアーチサポート、幅広めの前足部、厚めのパッド入りシュータン、インナーブーティーが柔らかく包み込みます。
さらに、アクセントになるダブルシューレースとしてデュアルレースシステムを採用しています。結び方で様々な表情を見る事が出来ますが、機能面で見ても既存のシューレースに加えフィット感をカスタマイズ出来る優れものです。
未来型の最新デザインとしてだけでなく、機能面も細かくこだわられた1足です。
2022年に誕生したウィメンズAir Maxモデル
遂に続々と2022年のAIR MAX DAYに向けてロンチされるモデルたちのヴェールが次々に明かされていきます。
NIKE WMNS AIR MAX 1 “WABI-SABI"
日本文化特有の美的理論「侘び寂び」。
内なる美しさが1足に込められたモデルが登場します。
侘び寂びに込められた想いのままに、経年変化によって、寂れ、汚れ、欠けたりするこれは劣化とみなされますが、時間が経つ中で生まれる変化もまた美しいとスニーカーを通して表現しています。
ボディの各所にビンテージテイストが散りばめられ、経年劣化による加水分解が表現されたヒビのプリント、ビンテージ加工を施されたミッドソールが印象的です。
サイドには35周年を記念した“XXXV”がボルドーカラーで刺繍されています。
AIR MAXも同様に長期に渡って愛すが故に切っても切れない「加水分解」で朽ちてしまう時もいずれかやってきますが、寂れ、汚れも受け入れ、その変化さえも楽しもうとする心はスニーカーにとって大事なことですね。今までの歴史を振り返る意味にも取れるこの1足は、ぜひ実際に履いてみたいモデルですね。
いかがでしたでしょうか?
過去の名作たちがあるからこそ新しいモデルと出会える楽しみが増します。
アニバーサリーイヤーはまだまだこれからです‼︎
リリースも続いていくと思われますので、今後に期待してAIR MAXを盛り上げていきましょう。
【コラム筆者】
菊地真奈美さん:日本の数少ない女性スニーカーコレクターの1人で、所有数は300足を超える。学生時代に陸上部だったことから靴の履き心地を意識し始め、靴と向き合う中で、Air Presto (エアプレスト) の履き心地とデザインに衝撃を受けてからスニーカーに興味を持ち始める。特にエアマックスへの愛着が強いエアマックスマニア。