選手の足をよく見よ!【オニツカタイガー】誕生の秘密 徹底した「頂上作戦」が生み出した伝説のシューズたちとは

選手の足をよく見よ!【オニツカタイガー】誕生の秘密 徹底した「頂上作戦」が生み出した伝説のシューズたちとは

スポーツパフォーマンスブランドとして知られるASICS(アシックス)に対し、ファッションブランドとして定着した「Onitsuka Tiger(オニツカタイガー)」。その歴史やアイテムについて解説します。

設立のきっかけは青少年がスポーツに打ち込める靴

Onitsuka Tigerの前身となる鬼塚商会を設立した鬼塚喜八郎は、戦後に勤めた商事会社に愛想を尽かしていました。

配給制度で手に入りにくい物を売るなど、私利私欲に走る経営者についていけなくなります。

そんな折、兵庫県教育委員会の保健体育課長の堀公平から「青少年がスポーツに打ち込める靴」の制作依頼を受けました。

これがスポーツシューズ開発のきっかけとなるのです。

またこの時、堀から「『健全なる精神は健全なる肉体に宿る』ということばを知っているか」と聞かれ、後にASICSの標榜となりました。

最初の製品はバスケットボールシューズ

1949年に鬼塚喜八郎が鬼塚商会を設立し、最初に手掛けたのはバスケットシューズ。

兵庫県バスケットボール協会の理事長であり、兵庫県立神戸高等学校バスケットボール部の監督でもあった松本幸雄と相談してバスケットシューズの制作を始めます。

鬼塚はバスケットシューズの開発に没頭します。

しかし、見よう見まねで作成した最初のシューズは「わらじのようだ」と叩きつけられてしまうのでした。

再びバスケットシューズの開発に取り組む鬼塚。

そんな折、

「選手の足元をよく見ろ」

という1つの助言が鬼塚の開発に大きな影響を与えるのです。

助言をもとに何度の何度も、バスケットコートに足繫く通い、選手のプレイを食い入るように観察します。

プレイ中は急加速と急停止が繰り返されるため、バスケットシューズにはコートを掴むグリップ力が必要だと気付くのでした。

気づきをどうすればシューズに落とし込めるのか、考えをめぐらす日々。

オニツカタイガー ソールOnitsuka_sole

via pen

きゅうりの酢の物に入っていたタコの吸盤から着想を得て、ソールに吸着盤のような凸凹した設計を取り入れた「TIGER BASKETBALL SHOES」を開発しました。

松本幸雄監督にも認められ、全国に広がります。

Onitsuka Tigerの誕生

創業者の鬼塚喜八郎と、創業初期の鬼塚商会を支えた吉川ゴム工業所社長の吉川寅一の名前が、「Onitsuka Tiger」の由来の1つとされています。

靴づくりに関して素人だった鬼塚は、製造が難しいバスケットシューズの製造を外部に委託していました。

製造を請け負っていたのが、神戸の長田区にあった吉川ゴム工業所です。

鬼塚喜八郎の「オニツカ」と吉川寅一の「タイガー(寅)」を合わせて、Onitsuka Tigerが誕生します。

ランニングシューズの開発

鬼塚喜八郎がバスケットシューズの次に開発に取り組んだのが、ランニングシューズです。

当時は足袋をベースにゴム底や甲の部分に紐を付けた「金栗たび」がランニングに用いられていました。

金栗足袋 kanakuritabi

via MELOS

鬼塚喜八郎は、大阪大学医学部の水野洋太郎教授からの摩擦でマメができる仕組みを教わります。

オニツカタイガー ランニングシューズOnitsuka_shoes01

via pen

入浴時に自身の足がふやけていることから、「温度上昇を抑えればマメの予防につながる」とひらめきました。

オニツカタイガー ランニングシューズOnitsuka_shoes02

via pen

着地の際に内部の熱が放出され、地面から離れると冷たい空気を取り込む、循環機能を備えたランニングシューズの開発に成功します。

あの有名な「ライン」誕生のきっかけはオリンピック?各大会とアシックスの設立

「オニツカタイガーストライプ」と呼ばれるラインは、1968年に開催されたメキシコシティオリンピックで国際デビューします。

それまで、1960年のローマオリンピックでは日の丸、1964年開催の東京オリンピックはUIラインなど、オリンピックごとにラインのデザインを変更していました。

一瞬で視認できるように改良を重ね、メキシコシティオリンピックでOnitsuka Tiger特有のラインが完成。

設立から間もない鬼塚商会が大企業に立ち向かうため、実施したのが「頂上作戦」という戦略でした。

頂上作戦は、競技用シューズの購買層を4つに分け、トップ層の要求を満たすシューズを開発することで、下の層への拡販も狙うプランです。

ローマオリンピックのマラソンで優勝したアベベ・ビキラに履いてもらうことが効果的であると判断し、来日の際に足形を取って靴を提供しました。

1964年の東京オリンピックではアベベにOnitsuka Tigerを履いてもらえなかったものの、マラソンやレスリングなどでOnitsuka Tigerの靴を履いた選手が活躍し合計46個のメダルを獲得するのです。

Nikeとの協力関係、「Onitsuka Tiger」の締めくくり

アスレチックシューズのマーケティングに関する論文を執筆した Phil Knight(フィル・ナイト)が1962年に神戸に立ち寄った際、Onitsuka Tigerのシューズと出会います。

高性能でありながら低価格であることに感銘を受け、鬼塚喜八郎と面会しアメリカ西部の販売代理店契約を結びました。

その後、 Phil Knightと Bill Bowerman(ビル・バワーマン)が出資し、「Blue Ribbon Sports(ブルーリボンスポーツ)」を設立。これがNIke(ナイキ)のルーツとなるのです。

1977年には、株式会社ジィティオとジェレンク株式会社と合併し、株式会社ASICSが誕生。鬼塚喜八郎が社長に就任します。

合併して株式会社アシックスとなった際に、「Onitsuka Tiger」のブランドは一度消失します。

2000年代の華麗な再スタート

ヨーロッパのファッション業界でクラシックシューズが再評価されたことを背景に、2002年にOnitsuka Tigerが復刻されます。

オニツカタイガー キルビルOnitsukaTiger_killbill

via GQ

映画「Kill Bill(キル・ビル」で主演のUma Thurman(ユマ・サーマン)が、Onitsuka Tigerの「Taichi(タイチ)」モデルを履き、メディアに知られるようになったことでファッショナブルなイメージが定着しました。

Onitsuka Tigerの代表的なモデルたち

スポーツファッションブランドとしての地位を確立したOnitsuka Tigerは、さまざまなラインナップが展開されています。代表的なモデルを以下に紹介します。

MEXICO 66

【写真のモデル】
品番:EW7416
価格:13200円
購入はこちらから 楽天市場

1966年に発売された「LIMBER(リンバー)」の名で知られるシューズをモチーフとして、2002年に発売された一足。

特徴的なラインとスリムなボディが魅力で、ブランドを象徴するような1足として今なお高い人気を集めています。

MEXICO 66 PARATY

【写真のモデル】
品番:EW7421
価格:8800円
購入はこちらから 楽天市場

PARATY(パラティ)は、歴史のある「MEXICO 66」をスリッポンスタイルにアレンジしたアイテムです。

靴ひもがなく、かかとがインソール側に倒れる設計になっており、素早く着脱できます。

LAWNSHIP 3.0

【写真のモデル】
品番:GH4641
価格:13200円
購入はこちらから 楽天市場

1974年に発売されたテニスシューズがベースとなっている「LAWNSHIP 3.0」。

デザインは継承しつつも、ソールの柔軟性や中敷きのクッション性の向上、全体的な軽量化が図られ履き心地が良いシューズに仕上がっています。

SERRANO

【写真のモデル】
品番:GJ6485
価格:8800円
購入はこちらから 楽天市場

「SERRANO(セラーノ)」は1970年代の陸上用のスパイクシューズがデザインのベースです。

ソールの厚みが抑えられ、つま先が少し上を向いた設計なので、長時間使用しても疲れにくいことが特徴です。

DELECITY

【写真のモデル】
品番:EV9713
価格:14300円
購入はこちらから 楽天市場

「DELECITY(デレシティ)」には、ソールに1950年代のバスケットシューズ、アッパーには1980年代のテニスシューズの要素が取り入れられています。

厚底が特徴的なスニーカーとなっており、スタイリッシュ、かつ足が長く見えてスタイルアップにもつながるアイテムです。

OHBORI EX

【写真のモデル】
品番:EV9713
価格:14300円

1974年に誕生したOnitsuka Tigerのマラソンシューズがデザインのベースとなっています。

「OHBORI(オーボリ)」の由来は、福岡県にある「大濠(おおほり)公園」です。

つま先とかかとがシャープになったクラシカルなデザインですが、機能性の向上も図られています。

DELEGATION EX

【写真のモデル】
品番:1183A559
価格:15400円

「DELEGATION EX(デレゲーション EX)」は、クラシカルなOnitsuka Tigerのシューズに、モダンなデザインを取り入れたアイテムです。

足の甲を保護するシュータンに1964年当時のモデルに採用されていた「TOKYO ONITSUKA」のロゴがあしらわれています。

DELEGATION CHUNK

【写真のモデル】
品番:EV9657
価格:17600円
購入はこちらから 楽天市場

1968年に開催されたメキシコシティオリンピックで日本選手団が着用した「MEXICO DELEGATION (メキシコ デレゲーション)」がベースとなっているシューズです。

「DELEGATION CHUNK(デレゲーション チャンク)」は厚底が特徴的なアイテムです。

HMR PEAK G-TX

【写真のモデル】
品番:EV9714
価格:30800円
購入はこちらから 楽天市場

1966年に誕生した「HIMARAYAN PEAK」がデザインのベースになっています。

トレッキングシューズを現代のライフスタイルに合わせてアップデートしたハイカットモデルのシューズです。

DENTIGRE BB

【写真のモデル】
品番:1183B622
価格:19800円

Onitsuka Tigerの原点であるバスケットシューズのアッパーと、「DENTIGRE」のソールを融合させたハイブリッドモデルです。

ボリュームのあるソールが特徴的ながら、機能性にも配慮されています。

MOAGE CO

【写真のモデル】
品番: 1183B555
価格:19800円

1980年代のランニングシューズがデザインのベースとなっている「MOAGE CO」。

クラシカルなデザインにラバーやメッシュなどの異素材が取り入れられモダンなアイテムとなっています。

これからもOnitsuka Tigerから目を離せない!

ヨーロッパのファッション業界でクラシカルなシューズが再評価され復刻した「Onitsuka Tiger」。

スポーツファッションブランドとして今後も目が離せません。

SNKRGIRL編集部
SNKRGIRL編集部
神戸・東京・ニューヨークのメンバーと共にグローバルに活動するメディアチーム。

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