【LGBTQ+の人々を描いたクィア映画】大ヒット受賞作から実話ベースの作品まで

【LGBTQ+の人々を描いたクィア映画】大ヒット受賞作から実話ベースの作品まで
LGBTQ+コミュニティの現状やQUEERな人々を主要なテーマとして描いた「クィア映画」。
数々の映画賞を受賞した大ヒット作やカルト的人気を誇る現代の傑作、実話を基に製作された作品など、さまざまな焦点からLGBTQ+を取り上げた映画作品をご紹介します。
INDEX

LGBTQ+の人々を描いたおすすめクィア映画

今回は、性的マイノリティ(Queer/クィア)である人々が登場する映画、あるいはジェンダーやセクシュアリティについてのマイノリティ性(クィアネス)を主要なテーマとして正面から描いた映画から、おすすめ作品を厳選してご紹介。

かつてはクィア・キャラクターの存在が認められることがなかった映画シーンでも、現在では同性愛だけでなく、トランスジェンダーやバイセクシュアル、インターセックス、ノンバイナリーなど、さまざまなセクシュアリティが存在しています。

「クィア映画」には、シスジェンダーや異性愛、男女二元論といった固定概念にとらわれず、自由な発想でそれぞれの在り方や社会の状況を見つめ直すことができる可能性や希望が秘められているはず。

誰もが自分の居場所が感じられる「クィア映画」の中からおすすめ作品をシェアしていきます。

燃ゆる女の肖像

製作年:2019年
監督:セリーヌ・シアマ
上映時間:120分
映画賞・映画祭:カンヌ国際映画祭 脚本賞

あらすじ:

画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から、娘のエロイーズの見合いのための肖像画を頼まれる。だが、エロイーズ自身は結婚を拒んでいた。身分を隠して近づき、孤島の屋敷で密かに肖像画を完成させたマリアンヌは、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを否定される。描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。キャンバスをはさんで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋におちる二人。約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成となるが、それは別れを意味していた──。

天才監督とも名高いグザヴィエ・ドランが、「こんなにも繊細な作品は観たことがない」と発言したことでも知られる『燃ゆる女の肖像』。

登場人物としてはたった3人の女性ながらも、その3人が織りなす物語は、強い愛に溢れたストーリーになっています。

まるで神話のように美しくそして残酷な結末は、映画を観た後にも余韻に浸ってしまうような唯一無二の存在感を放つはずです。

チョコレートドーナツ

製作年:2012年
監督:トラヴィス・ファイン
上映時間:97分

あらすじ:

マルコが好きだったもの。人形のアシュリー、ディスコダンス、ハッピーエンドのおとぎ話、そしてチョコレートドーナツ。マルコは僕らに家族をくれた。僕らはマルコをなにがあっても守ると約束した。僕たちは忘れない。マルコと過ごした愛しい日々。

作品としては約1時間半という短めの作品ながらも、まるでドキュメンタリー映画のように繊細に作り込まれた『チョコレートドーナツ』。

切実に描かれた「家族」の様子に胸が締め付けられるような気持ちになりながらも、現代の社会と向き合う時間をくれるはず。

壮大なストーリー展開はないものの、今もなお誰にも知られない場所でも時間が進んでいてさまざまな状況下で人が生きているという事実を映し出し、シンプルながらも確実に心に何か響くものがある、そんな映画になっています。

アデル、ブルーは熱い色

製作年:2013年
監督:アブデラティフ・ケシシュ
上映時間:179分
映画賞・映画祭:カンヌ国際映画祭 パルム・ドール、ロサンゼルス映画批評家協会賞 外国語映画賞、インディペンデント・スピリット賞 外国映画賞、オースティン映画批評家協会賞 外国語映画賞

あらすじ:

運命の相手は、ひと目でわかる──それは本当だった。高校生のアデルは、道ですれ違ったブルーの髪の女に、一瞬で心を奪われる。夢に見るほど彼女を追い求めていたその時、偶然バーでの再会を果たす。彼女の名はエマ、画家を志す美学生。アデルはエマのミステリアスな雰囲気と、豊かな知性と感性に魅了される。やがて初めて知った愛の歓びに、身も心も一途にのめり込んで行くアデル。数年後、教師になる夢を叶えたアデルは、画家になったエマのモデルをつとめながら彼女と暮らし、幸せな日々を送っていた。ところが、エマが絵の披露をかねて友人たちを招いたパーティの後、急に彼女の態度が変わってしまう。淋しさに耐えかねたアデルは、愚かな行動に出てしまうのだが──。

『アデル、ブルーは熱い色』は、主人公アデルの恋愛模様と重ねてゆく日々を丁寧に描いた作品。

劇中でアデルとエマが交差点ですれ違い、お互いに衝撃を受けるシーンには、観ているこちら側も時間が止まるような衝撃を受けるほど、ドキュメンタリー映画のように自然体の様子が印象的。

画面いっぱいに顔が映し出されるシーンも多く、主人公アデルの強く、儚い視線から深い“愛”を感じられます。

君の名前で僕を呼んで

製作年:2017年
監督:ルカ・グァダニーノ
上映時間:132分
映画賞・映画祭:アカデミー賞 脚色賞、英国アカデミー賞 脚色賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞 作品賞、放送映画批評家協会賞 脚色賞

あらすじ:

1983年夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオは、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァーと出会う。彼は大学教授の父の助手で、夏の間をエリオたち家族と暮らす。はじめは自信に満ちたオリヴァーの態度に反発を感じるエリオだったが、まるで不思議な磁石があるように、ふたりは引きつけあったり反発したり、いつしか近づいていく。やがて激しく恋に落ちるふたり。しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づく・・・。

まるで芸術作品を見ているかのような美しい色彩や映像、そして音楽が広がる『君の名前で僕を呼んで』。

お互いの名前を呼ぶことが主人公エリオとオリヴァーにとっての“愛の言葉”であるという描写は、直接的な言葉として発することはなくともふたりだけの間で共有される“愛”を懸命に感じさせます。

ふたりの愛のストーリーはもちろん、エリオを取り囲む家族の接し方や言葉にも感動する映画です。

ムーンライト

製作年:2016年
監督:バリー・ジェンキンス
上映時間:111分
映画賞・映画祭:アカデミー賞 作品賞 | 助演男優賞 | 脚色賞、ゴールデングローブ賞 作品賞(ドラマ部門)、ロサンゼルス映画批評家協会賞 作品賞 | 撮影賞、インディペンデント・スピリット賞 作品賞 | 脚本賞 | ロバート・アルトマン賞、オースティン映画批評家協会賞 作品賞

あらすじ:

名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校では“オカマ”とからかわれ、いじめっ子たちか ら標的にされる日々。その言葉の意味すらわからないシャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友達だ った。高校生になっても何も変わらない日常の中、ある日の夜、月明かりが輝く浜辺で、シャロンとケヴィンは初 めてお互いの心に触れることに・・・

主人公シャロンが思春期を経て青年になっていく様子にフォーカスを当てた作品。

物語の起承転結のような展開ではなく、シャロンの心境の変化や精神的な成長に焦点が当てられています。

劇中では“海”が度々映し出され、画面いっぱいに広がる海に思わず息を飲むほど美しい映像や身体を包み込むような波の音が、鑑賞後にもゆっくりと記憶の中でストーリーとともに打ち寄せてくるような映画です。

BPM ビート・パー・ミニット

製作年:2017年
監督:ロバン・カンピヨ
上映時間:143分
映画賞・映画祭:カンヌ国際映画祭 グランプリ(審査員特別グランプリ・審査員特別賞)、ロサンゼルス映画批評家協会賞 外国語映画賞、セザール賞 作品賞

あらすじ:

舞台は1990年代初めのパリ。エイズの感染による差別や不当な扱いに抗議し、政府や製薬会社などへ変革に挑んだ実在の団体「ACT UP」の活動を通して、若者たちの恋と人生の輝きを描く。ACT UPのメンバーだったという監督自身の経験が物語のベースとなっている。明日も知れぬ命を抱える主人公の葛藤、感染者を一人でも減らしたい、友人の命を助けたいという情熱、恋人との限りある愛・・。生と死、理想と現実の狭間で揺れ動きながらも、強く生きる若者たち。彼らの生き生きとした表情や行動が、力強くエモーショナルな映像と共に綴られる、感動作。

エイズと闘う活動家団体「ACT UP(アクトアップ)」のメンバーでもあったというロバン・カンピヨ監督の実体験を基にしたストーリー。

実話がベースになっているということもあり、“物語”となった映画の裏側にあるメンバーの姿や出来事、緊張感が高まる人の“息遣い”や“鼓動”さえ聞こえてきそうなほど、リアルなものになっています。

監督の切実な思いが反映され、社会の意識を変えようと懸命に声を上げるイキイキとした彼らの言動や行動に心動かされる映画です。

誰もが居場所を感じられる「クィア映画」

一言で「クィア映画」といっても、さまざまなセクシュアリティがあるように、同じテーマを取り上げた作品でもさまざまな角度から焦点が当てられ、それぞれの作品の世界観やストーリーが存在します。

かつて“禁断の愛の物語”として取り上げられることが多かった同性愛というテーマや、作品中でも無視されてきたクィアな存在。

「クィア映画」には、今まで伝えられてこなかった背景や出来事が映画として取り上げられることで、その存在や声、歴史を世界中の人に発信する力があると信じています。

自分は“クィア”だと自認している人はもちろん、そんな人たちを支えたいAlly(アライ)にもおすすめの映画です。

ライターまりん
ライターまりん
ライター まりん。Z世代。コスメ系コンテンツ担当。韓国アイドル&コスメオタク。好きなスニーカー「New Balance 327」

このライターの記事一覧

ライターまりん
ライターまりん
ライター まりん。Z世代。コスメ系コンテンツ担当。韓国アイドル&コスメオタク。好きなスニーカー「New Balance 327」

このライターの記事一覧