革新的なスニーカーデザイナーとして世界中に名を知られているSalehe Bembury(サレヘ・ベンバリー)。
数々の人気モデル・コラボモデルを生み出している彼はどのような経歴の持ち主なのでしょうか。
今回は、彼がこれまで重ねてきたキャリアと彼がデザインしたスニーカーについて詳しく解説します。
スニーカーデザイナーを志したきっかけ
Salehe Bembryは1986年にニューヨークで生まれました。
彼は少年時代にヒップホップやバスケットボールに夢中になったことがきっかけでデザイナーを志すようになります。
彼が影響を受けた人物としてまず挙げられるのは、Nike(ナイキ)のスニーカーデザインを担当していたTinker Hatfield(ティンカー・ハットフィールド)です。
また、ファッションデザイナーの山本耀司からも大きな影響を受けています。
スニーカーを学ぶため、大学では工業デザインを専攻
Salehe Bemburyは高校卒業後、ニューヨークにある私立大学のSyracuse University(シラキュース大学)で工業デザインを学びました。
大学卒業後、彼が最初に就職したのは靴販売の大手チェーンであるPayless(ペイレス)です。
Paylessはその名の通り、低コストのシューズを生産・販売している会社でした。
その後、彼はDamon Dash(デーモン ダッシュ)やFortune Footwear(フォーチュン フットウェア)、Cole Haan(コールハーン)などで自身のスニーカーデザイナーとしてのキャリアを重ねていくこととなります。
Nike傘下のCole Haanで革新的シューズ「Lunargrand」を生み出す
彼のキャリアにおける最初の転機となったのが、Nike傘下のCole Haan時代に生み出した「Lunargrand(ルナグランド)」です。
Cole Haanは伝統的なビジネスシューズを展開しているブランドとして知られています。
「Lunargrand」はCole Haanの特徴であるトラディショナルなウィングチップにNikeのルナロンをアウトソールに用いることで、伝統とテクノロジーが融合した革新的な一足となりました。
Kanye Westと共にYEEZYのシーズン3、4までを手掛ける
Cole Haanで働いているとき、彼は上司からスニーカーデザイン案をいくつか作成するように求められます。
実はそれはKanye West(カニエ・ウェスト)が運営するファッションブランドYEEZY(イージー)のデザイン案でした。
Kanye WestがBemburyのデザインを気に入ったことで、彼はYEEZYで働くことになります。
そして彼はメンズのシューズデザイナーとしてYEEZYのシーズン3と4を手掛けることになりました。
Versaceでのスニーカー&メンズフットウェア部門VPに就任
Bemburyは1年ほどでYEEZYを去ります。
そしてVersace(ヴェルサーチェ)のデザインディレクターにオンラインでコンタクトを取ったことがきっかけでVersaceのスニーカー&メンズフットウェア部門VPに就任しました。
Versaceでの彼の仕事では「Chain Reaction(チェーン リアクション)」が知られています。
キューバリンクチェーンが縁どられたソールとVersaceらしいアニマル柄や細工柄の異質の組み合わせは、絶妙なバランスを持った革新的なスニーカーとして話題になりました。
スニーカー界のアカデミー賞で“Designer of the Year”に選出
via GQ
2020年、Salehe Bemburyはスニーカー界のアカデミー賞とも呼ばれている「Footwear News Achievement Awards(FNAA)」で“Designer of the Year”に選ばれました。
FNAAは1945年にニューヨークで創刊された靴専門の週刊誌「Footwear News(フットウェアニュース)」が主催している賞です。
Bemburyは「Charn Reaction」などVersaceでの仕事で畑違いと思われていたイタリアのブランドをファッションスニーカーの最前線にもたらしたことが高く評価されました。
レーベル「Spunge」を主催
via GQ
2020年の契約期間終了をもってVersaceを離れたBemburyは2021年に自身のブランド「Spunge(スパンジ)」を立ち上げたことを発表しました。
彼は「2020年に行ったNew Balance(ニューバランス)やAnta(アンタ)といったスニーカーメーカーとのコラボレーションをこのブランドで継続していく」と開設したInstagramアカウントで述べています。
また、スニーカーだけではないさまざまなデザインも行っていく予定であることも発表しました。
UNINTERRUPTEDアパレル部門クリエイティブ・ディレクターとなる
via GQ
2021年、BemburyはNBAのスター選手LeBron James(レブロン・ジェームズ)が主催するUNINTERRUPTED(アンインタラプティッド)のアパレル部門クリエイティブ・ディレクターに就任したことを発表しました。
Bemburyの参加により同ブランドの展開するアパレルラインがより本格的なものになることが期待されています。
Bemburyは就任に際し「誰のためにデザインをしようと、自分の(デザインに対する)アプローチは変わりません」とコメントしました。
コラボモデル多数
Salehe Bemburyはさまざまなシューズメーカーとコラボレーションしてることでも知られています。
最後に、彼がコラボでデザインしたシューズの中からいくつか人気のあるものを紹介しましょう。
SALEHE BEMBURY x NEW BALANCE 2002R "Salehe Bembury Peace Be The Journey"
via SNS
「2002R "Salehe Bembury Peace Be The Journey"」はBemburyとNEW BALANCEの初コラボとなったスニーカーです。
2010年に発売されたモデル2002のアッパーにランニングシューズ860 v2のソールを組み合わせた2002Rをベースに採用。
全体をアリゾナ州の人気観光地であるアンテロープ・キャニオンをイメージさせるオレンジトーンで統一し、メッシュやレザーなど異なる素材を用いることで渓谷の地層を表現しています。
SALEHE BEMBURY x NEW BALANCE 2002R "WATER BE THE GUIDE"
「2002R "WATER BE THE GUIDE"」は「2002R "Salehe Bembury Peace Be The Journey"」と同じく2002Rをベースに採用、メッシュやレザーといった異素材の組み合わせも踏襲しています。
メインカラーは鮮やかなターコイズブルーで、インサイドクォーターとシュータンはオレンジでデザイン。
夏をイメージさせる爽やかな一足です。
Crocs × Salehe Bembury Pollex Clog
「Pollex Clog」はCrocs(クロックス)の定番モデルであるClassic Clog(クラシッククロッグ)をベースにしています。
アッパー全体のデザインがBemburyのシグニチャーである指紋モチーフになっているのが特徴的です。
通気性を高めるため各所に施された穴や取り外し可能なストラップなど、機能的にも優れた一足となっています。
ミリタリー風のグリーンとグレーに近いベージュ、ホワイトの3色です。
Salehe Bembury x New Balance 574 Yurt “Universal Communication”
via SVD
「574 Yurt “Universal Communication” 」は遊牧民が使用する伝統的なテントYurt(ユルト)からインスピレーションを受けた「574 Yurt」をベースとしたモデルです。
アッパー部分は過去のさまざまなアーカイブモデルの要素を加えてアウトドアシューズらしいデザインに。
Roll Bar(ロールバー)を搭載したソールにより歩きやすさも抜群です。色はホワイトとピンク、ブラックとパープル、グリーンの3パターンがあります。
Salehe Bembury x Vault by Vans Authentic
Bemburyが主催するブランドSpungeとVans(バンズ)によるコラボモデルが「Vault by Vans Authentic」です。
ベースに採用しているのはVansのスニーカーでも特に人気の高いAuthentic(オーセンティック)。
コラボモデルではアッパー部分に指紋を思わせる波状のパターンをあしらっています。
カラーはピンク、ブラウン、ブルーの3色です。
Salehe Bemburyが生み出す斬新なデザインに今後も注目!
Salehe Bemburyはさまざまなブランドとコラボして斬新なデザインのスニーカーを発表してきました。
今後も自身が主催するレーベルSpungeを通し、スニーカーにとどまらないさまざまな分野でその独創性を発揮してくれるでしょう。