“Ugly”は進化のサインなのか? インヒールスニーカーとファイブフィンガーにみるネクストトレンド考察

“Ugly”は進化のサインなのか? インヒールスニーカーとファイブフィンガーにみるネクストトレンド考察

「Ugly (アグリー)=ブサイクいう意味」がネクストトレンドなのかもしれない?!
一見すると「美しくない」「理解しづらい」と感じられるデザインが、いまファッションの中心に立ち始めています。

ファイブフィンガーシューズの浸透、Labubu旋風、そしてウェッジスニーカーの再浮上など、それらは単なる懐古や奇抜さの競争ではありません。かつて“Ugly”と呼ばれてきた、少しブサイクで、どこか引っかかるデザインが、なぜ今、改めて選ばれているのか。

本記事では、足元に表れた変化を手がかりに、次のスニーカートレンドが向かう先を読み解いていきます。

ヨーロッパの“クールドレッサー”が今履いている

7つの“アグリーシュー”トレンド

2026年の足元シーンを語るうえで無視できないのが、いわゆる「アグリー(=ユニークでクセのある)」シューズの存在感といえます。

例えば、「クール」と評価されるロンドンのファッショニスタたちは、従来の“きれいめシルエット”から一線を画す靴を取り入れており、それが今の靴トレンドにある一定の影響を与え始めているようでもあります。

アグリーシューズは、かつてはファッション界の周辺に位置づけられ、奇抜すぎるという評価もあった一方で、この2025年〜2026年では、先鋭的な個性を表現するアイテムとして再び脚光を浴びています。

今ストリートで特に注目されている6つのシューズトレンドをピックアップしてみましょう。

1. ファイブトゥフラット

Vibram FiveFingersのような、5本指を模したシルエットのフラットシューズにも注目が集まっています。

コンセプトはミニマリズムから来ていますが、抜群の履き心地の良さとファッションとしての“奇抜さ”が最大の魅力となっているようです。

2. インヒールスニーカー

2010年代にブレイクしたIsabel Marantのウェッジスニーカーが、再びストリートで存在感を放っている。ヒールのあるスニーカーという曖昧な領域に立つこのスタイルは、快適性と視覚的インパクトを両立しつつ、再評価される象徴的トレンドとなっている。PumaやConverseなどからも類似モデルが登場しており、Z世代のファッションシーンでも支持を集めている。

3. ウルトラポイントヒール

より極端で未来的なシルエットを求める人には、超尖ったヒール形状のパンプスが人気のようです。

KWLS×Nikeのコラボレーションにもみられるように、足元にインパクトを与えながらも、全体のスタイルに洗練されたエッジを加えています。

4. タビシューズ

日本発祥の“足袋”ですが、日本人にとっては伝統的な靴でも海外ではユニークなデザイン。

分かれたつま先が特徴的な構造は、歴史的起源を背景に持ちながらも、Margielaなどのブランドが現代に再構築したりと、クラシックと逸脱の狭間で、ファッション感度の高い層に支持されています。

5. ビッグフットシューズ

近年のスニーカーシーンでは、“ビッグフット”とも呼ばれる極端にボリューム感のあるシューズが存在感を放っています。

BalenciagaのTriple Sに代表される分厚いソールと誇張されたプロポーションは、ダッドスニーカーブームの象徴として、足元の価値観を大きく更新しました。さらにMSCHFのBig Red Bootsのように、キャラクター性やユーモアを前面に押し出したモデルも登場し、「大きさ」そのものをスタイルとして成立させています。

これらのビッグフット・シューズは、機能性よりも視覚的インパクトやメッセージ性を重視し、足元をファッション表現の主役へと押し上げる存在。スニーカーが“履くもの”から“語るもの”へと進化していることを象徴するトレンドと言えるでしょう。

6. ファー&シアリングシューズ

冬の季節感を活かした、ファーやシアリング素材を取り入れたシューズは、ブーツ、フラット、スニーカーまで多彩な表現で展開していますが、中には特に存在感を放つものもあり、足元がとびきり大きく見えるファーの量が印象的なデザインもあります。

かと思えば、動物の足にも見えてしまうようなふわふわでもこもこなデザインもあり、そのポップなキャラクターは遊び心が重要なストリートファッションに合う、といったユニークなデザインも人気です。

実用性よりもテクスチャーとしての魅力が強く、見た目と暖かさの両面で存在感を放っています。

インヒールスニーカーとファイブフィンガー

“Ugly”から読み解く、いまのスニーカーファッションといえば、ファイブフィンガーとインヒールスニーカーでしょう。

ここ数年のスニーカートレンドを俯瞰すると、ひとつの共通項が浮かび上がります。
それは、「一見すると美しくない」「癖が強い」と感じられるデザインが、むしろ積極的に選ばれるようになっているという事実です。

いわゆる“Ugly(アグリー)”と形容されるシューズの台頭は、単なる奇抜さの競争ではありません。
そこには、従来の美意識や正解から自由になり、自分のスタンスや価値観を足元で語ろうとする、はっきりとした意志が見て取れます。

その流れの中で、再び注目を集めているのがウェッジスニーカー、そしてファイブフィンガー(五本指)シューズといった存在です。

かつて“賛否の象徴”だったインヒールスニーカー

インヒールスニーカーが広く知られるようになったのは、2010年代初頭のことでした。
当時のファッションシーンで象徴的な存在となったのが、Isabel Marant(イザベル・マラン)の「Bekett(ベケット)」。

ハイカットスニーカーの内部にウェッジヒールを仕込み、ヒールシューズの要素を外側に見せることなくスタイルアップを実現したこのデザインは、それまでのスニーカー観を大きく揺さぶりました。セレブリティやファッション感度の高い層に支持され、一時代を象徴するシューズとして強い印象を残します。

一方で、その独特な立ち位置は評価を二分しました。

スニーカーなのか、ヒールなのか。スポーティなのか、フェミニンなのか。
明確なカテゴリーに収まらないこと自体が、違和感として受け取られた側面もあったようですし、単にデザインが好きではないと感じた人もいたようでした。

ただ、このシルエットが完全に過去のものになったわけではなく、2021年にイザベル・マランが発表した「Balskee」をはじめ、近年ではOttolingerなどの前衛的ブランドがランウェイで再解釈を試みるなど、インヒールスニーカーは断続的にアップデートされ続けてきました。

一度は距離を置かれながらも、時代の感性が追いつくのを待っていた——
そう捉える方が、いまの再評価の流れにはふさわしいのかもしれません。

ファイブフィンガーが示した、美意識の転換

同時期に注目されているのが、Vibram FiveFingersに代表されるファイブトゥ(五本指)シューズです。

足の形をそのまま露わにするようなこのデザインは、機能性の象徴であると同時に、視覚的には強烈な“違和感”を伴うと感じる人もいるようですが、それでもなお、ロンドンをはじめとする感度の高いストリートや韓国のセレブやインフルエンサーの間では、ファイブフィンガーをファッションとして履きこなす人々が増えています。

ミニマルで身体性を強調する構造そのものが、いまの価値観と強く結びついているのかもしれません。

ここで注目すべきは、これらが「目立つため」や「奇をてらうため」に選ばれているわけではなく、履き心地、身体との関係性、ユニークな見た目、スタイルとの緊張感――そうした「異種」要素すべてを含めて、“選ばれている”という点にあります。

“Ugly”は、感性の成熟を示しているのか

ロンドンのストリートで見られるタビシューズ、ビクトリアンブーツ、ウッドクロッグ、ファー付きシューズ、極端に尖ったヒール。これらに共通するのは、「万人にとっての正解から距離を取っている」ことでした。

ウェッジスニーカーやファイブフィンガーが再び支持されているのも、この流れと無関係ではありません。

美しいかどうかではなく、どういう文脈で履くか、どういう姿勢を示すかが重視される時代へと、確実にシフトしているようでもあります。

“ダサい”から“読み解く存在”へ

ウェッジスニーカーも、ファイブフィンガーも、アグリーシューズ全般も。
それらはもはや「避けるべき存在」ではありません。

どう履くか、どんな文脈で取り入れるかによって、強いメッセージ性を持つアイテムへと変わっています。
ファッションが再び“解釈する楽しさ”を取り戻している今、その象徴として、これらのシューズが浮上してきたのは必然と言えるでしょう。

美しくないからこそ、面白い。
そして、その違和感を受け止められる感性こそが、いまのスニーカーファッションをかたちづくっています。

SNKRGIRL編集部
SNKRGIRL編集部
神戸・東京・ニューヨークのメンバーと共にグローバルに活動する編集部メディアチーム。

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