今回の企画を進めるに当たって、高見さんには多大なご協力を賜りました。
お話をさせていただく中でとても印象的だったのが、高見さんの「ゆるさ」でした。
業界内でのストーリーを語られる中には核心をつくコメントがあったり、絶対に出せない裏話までお話いただけたり、武勇伝とも言える壮絶な苦労話もあったりするのですが、そこには自虐もあれば反骨精神もあるし、ユーモアに溢れていて、ウィットに富んでいて、そして何よりリアルである。
優しいけど弱くない、ほどよい軽さはあるけど浅くない、チャーミングだけど厳しさもある、そんな絶妙なバランス感がある最高に格好良い「ゆるさ」を感じ、憧れてしまいました。
「ゆるい」と表現されることには、色んなバランスが絶妙に良くないと出せないハイレベルな格好良さだという持論があるからかもしれませんが、私が「ゆるさ」と称する格好良さには、飾らない自身をさらけ出せる強さがあるのだと感じ、女性としてとても魅力的です。
そして、スニーカー業界のみならず、90年代の日本にはまだ色濃くあった(現在もさほど薄れたわけではないけれど)男性至上主義的な風潮の中、女性として社会で働くあることへの風当たりの強さに屈せず、Nike Japanが日本市場で成長する過程を「JUST DO IT」の精神とともに様々な試練や苦労を突き進み、今となっては面白かったと振り返るその姿に、心から敬意を表します。
Air Max 95の熱狂、Nike Shopの立ち上げ、日本で最初の女性向けファッション・スニーカーの輩出 (X-GIrl x Nike Blazer Mid)など、日本のスニーカー史の中でカルチャーとマーケットが成長し今に至るまでには、大きく貢献してきた女性もいること。
どうしてもその存在を多くの女性に知ってほしいし、ストーリーを伝えたかった。
小さなインディペンデント・メディアであるSNKRGIRLのお声がけにも快くお受けいただけたことは、この上なく名誉なことです。
とても貴重な機会をいただけたこと、編集部一同心より感謝いたします。
こういったストーリーを伝えることがSNKRGIRLの存在意義であると信じているし、日本のみならず世界のスニーカーカルチャーの中の女性にとって、そして全ての人にとって、スニーカーをもっと好きになるきっかけになりエンパワーメントになればと願っています。
SNKRGIRL編集長 壺阪英莉子