【編集長コラム】国際女性デーに送りたい「母」への言葉:"女らしさ"は身につける前にぶっ壊してくれた人

【編集長コラム】国際女性デーに送りたい「母」への言葉:"女らしさ"は身につける前にぶっ壊してくれた人

国際女性デーは、女性の権利向上に貢献した人を称え、歴史を学び振り返る、女性に感謝する日。。。

 

ということで、私自身が女性として意味のある日に感謝したい人=母にむけて送りたいことがあります。

幼い私に女性の自立を叩きこんできた人、母

時折、世の中を見る視点が人と違うと言われるのですが、そのきっかけは中学生の時に始まっているように思えます。

中学といえば、自分の容姿が気になるし、恋愛も気になるし、友達との関係も気になるし、沸き起こる色んな感情や体の変化が、いったい何なのかも理解できず、でも毎日何かに必死だったり夢中だったり、という「青春」を過ごす思春期の多感な時期。

そんな時期に、私は「女らしさとは何ぞや?」にというフェミニズムで問題提起されるようなことを叩きこまれてしまいました。

叩きこんできたのは、私の母。

学校教諭だった母は、とても頭の良い人で、バイタリティと正義感に溢れていて、教師としての通常業務以外でも、様々な研究会やプロジェクトチームに関わって活動をしていました。

そんなかで、ジェンダー教育に関しても当時としては時代を先取ったような内容の研究グループにも参加していた母。

「娘への愛情」をフェミニズムに織り交ぜ、教育という方法で表現してくれていたのだったのでしょうか。

結果、そんな母によって「“女らしさ”は社会的人為的に操作され洗脳されたに近いもの」という考え方に触れることになった私。

おぎゃーって生まれた瞬間の人間が、女の体で生まれたからってピンクを着ないといけないわけじゃない。それは、"後から決められた"こと。

"おお〜!確かに。"とそのまま受け入れ、ある意味単純で素直だった私は、目に見える日々の生活の中で気付いてしまう「決められた女らしさ」や、女性であるがゆえに求められてしまう「女らしさ」に対して疑問視するようになりました。

"なんで、女だからってなんでもかんでもピンクと赤やねん?!"

"なんで自分の意見言ったら「女は黙っとけ」とか言われなあかんねん?!"

"なんで女だからって副**長って、副ばっかりで長になる発想ないねん?!"

"なんで男だけリードするのが正しいみたいになってんねん?!"

なんで?なんで?なんでやねーーーん???

・・・・・・・・・

っと、多感な私には、この「なんで?」が日常的に溢れてしまい、悔しい思いをすることも多かったことを覚えています。

この考え方を植え付けたのは母でしたが、その悔しさにいつも寄り添い、次へと導いてくれていたのも母でした。

当時の私にはそんな強い味方がいたので、基本的にはこの「女らしさ」や男尊女卑や男女の不平等に対しては、屈することなく、むしろ中指を立てるスタンスでいることができたように思います。(母が中指を立てろと仕向けたわけではなく、私が男尊女卑に対してそういう戦闘体制になれるほど精神的なサポートがあったということです。笑)

ただ、ひとつ懸念していたこともあって、もし社会が勝手に決めた"女らしさ"を完全に否定するとなると、そのうち男性から1人も好かれなくなるんじゃないか?ということでした。

理屈では分かっていても、とはいえ周囲はこの"女らしさ"を元に生活しているわけで。

私は男性のことが基本的に大好きですし、凄く可愛がってくれた叔父のことが大好きですし、父や祖父も好きですし、今でも男性を好きになります。

オスとして&人間としても。

塾の先生から年上の先輩やクラスメートの男子まで、いろんな男性に四六時中ドキドキしていた中学生の私には、この"女らしさ"の定義と周囲との関係性を、どうバランス取っていいか分からず、完全に捨てる勇気はまだなかなか持てず、ロジックとして頭では一定の複雑さを残したまま、思春期はそれなりに楽しんでいたと思います。

そこで考えた結果、好きな男性に近づく時やデートする時には、この一般的で周囲も分かりやすい"女らしさ"を都合よく使えばいっか... という答えに至って過ごしていました。

本当の女らしさは「自分らしさ」ってことだろう、という思春期の私なりの仮説。

結論は、成長していく上で自分で見つけよう。

こういった「女らしさと自分とのバランス」を探ることは、ある程度の年齢になるまでは、ちょっとしたミッションにもなっていました。

その中で、かなり参考になったのが、遥洋子さんの東大で上野千鶴子にケンカを学ぶという本でした。その中で「自分にとっての女らしさを見つけることは、〜らしさという地図 (マップ)の中に自分の位置/場所をみつけること」といったような内容が書かれていたことをずっと覚えています。

女らしさは、自分で決めたらいい。ということなのかも!

やっぱりそれで良いんだ!と後押しされたような気になり、女らしさと社会とのバランスをどう取って良いかを探っていた私にとって、かなりスッキリした瞬間でした。

 

そんな感性と考え方でそのまま大人になり、アメリカで15年過ごし、当時男性が大多数を占めるBreakin'というダンスにハマり、デートの時は髪を降ろして化粧して、料理よりDIYや工作が得意で、ピンクより青と緑が好きで、色んな男性に出会いたくさん恋愛もしたし、自分のスタイル、自分の生き方、自分の意見を自由に表現する、女性として自立した人間に成長してきたと思います。

私にとって、母が教育してくれたことは、男尊女卑に屈しない強さと賢さと、自分が他の誰とも被らない独自の存在に成長できる、という幸せにつながるきっかけとなったと思います。

社会が作った"女らしさ"からの解放は、本当の自分らしさを手に入れる自由への扉

そんな信念を元に、今こうしてSNKRGIRLというメディアを立ち上げ、スニーカーを通して、日本も海外も含め、たくさんの女性に自由で自分らしいあり方と伝えたいというモチベーションの元、毎日仕事をしています。

ライフワークとなったSNKRGIRLを始めるキッカケをたどると、それは母からの影響があったから。

女性として、地方で結婚して子供を産むと、日本がなかなか脱却できなかった家父長制の犠牲になることがあり、そんな経験から男女の不平等に立ち向かってよりよい未来を作っていくことに、母は教育という方法で表現しようとしていたのかもしれません。

その姿を見ていた私は、WEBメディアという方法で表現しようとしています。

女性から女性へ、時代や世代を超えて意志は引き継がれ、世界の全女性が平等に扱われ、尊重され、愛される時がくることを信じています。

そんな素晴らしい生き方のきっかけを作ってくれた母に、心から感謝しています。

HAPPY INTERNATIONAL WOMEN'S DAY, MOMMY!

編集長 Eriko
編集長 Eriko
SNKRGIRL編集長。所有数約60足。アメリカ在住歴15年。ダンサー/DJとしても活動。好きなスニーカーは「Air Huarache」。

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